FC2ブログ

窪田般彌 『詩集 円環話法』 

「詩がない人生は残酷だ
死がない生活は深刻だ」

(窪田般彌 「夢合」 より)


窪田般彌 
『詩集 
圓環話法』 



思潮社 
1979年1月15日 発行
101p
菊判 丸背紙装上製本 貼函
定価2,200円
装幀: 谷川晃一



本書収録詩のうち、「圓環話法」「否定神話」「風流夢情記」は「未刊詩集〈円環話法〉から」として、「夢のなかにいるように」「万華鏡」「花」「「聖ヨハネ祭の祝歌」は「未刊詩集〈竿頭のイカロス〉から」として、『現代詩文庫 62 窪田般彌詩集』(思潮社、1975年)に収録されている作品の再録です。

本書はもっていなかったのでアマゾンマケプレで396円(+送料257円)で売られていたのを注文しておいたのが届いたのでよんでみました。詩風としては加藤郁乎/西脇順三郎/堀口大学ですが、詩人として資質的に最も近いのはボルヘスかもしれないです。



窪田般彌 円環話法 01



帯文:

「円環話法
……………………
鼻をかび臭い大地につっこむミューズよ
楡の木の下で待つがいい

洒脱で知性あふれる影像にいろどられた作品構造によって、味わい深い詩空間をみごとに展開する著者の’72年から’78年に到る新作20篇」



帯背:

「七年間の成果」



窪田般彌 円環話法 02



圓環話法 一九七二―一九七八 目次:


圓環話法
夢のなかにいるように
死都ブリュージュ
秋霜記
万華鏡
千夜一夜
海の四季
冬の夜の対話

夏日抄
 蟬
 無花果
 太陽讃歌
 薔薇物語
聖ヨハネ祭の祝歌
ビリチスの唄
木の葉を持つ女
AMARANTH
夢合
否定神話
風流夢情記




窪田般彌 円環話法 03



◆本書より◆


「圓環話法」:

「年令は飛び立てないから
(飛び立てれば幸せなものを)
ほんとは自分の年令がわからないので
毎日ここにやってきて
絶望までも出し惜しみする老婆のように
静かに腰をおろして日々を数える
西方浄土(シャン・ゼリゼ)のすぐそばの
公園のベンチで

飛び立てれば幸せなものを
(イカロスの失墜は悲しい)
そのまた西には
リラの花咲く囲いがあり
わたしのパルナス山の墓地がある
秋の日の溜息のアポロンは
歌を忘れた脚韻屋
切れた絃の叫びばかりが疳高い

イカロスの失墜は悲しい
(鼻をかび臭い大地につっこむミューズよ)
死語をささやくのは愉快な悪戯だ
死人は詩人
詩人は盗人
悔い改めぬ盗人だ
彼らはミューズの墓をどれも知っている
でも自分たちの墓は知らない

鼻をかび臭い大地につっこむミューズよ
(涯しなくつづく「ここ」と「いま」)
月夜の芝居にうかれる使者の
ホメロス風の哄笑は
黄色いユーモア黒い恋
略奪はつねに苦々しく喜劇的だ
異郷暮しのミシンと蝙蝠
君たちは永遠に出会わない
涯しなくつづく「ここ」と「いま」
(楡の木の下で待つがいい)
飛び立てれば幸せなものを
イカロスの失墜は悲しい
鼻をかび臭い大地につっこむミューズよ
楡の木の下で待つがいい
いつまでも
翼のない虚無のように」



「秋霜記 Ⅱ」:

「夢は無の裏
無は夢の表
無にましますわれらの夢よ
われらが夢を無にする如く
われらにわれらの無を
夢にさせ給え
われらを夢のうちに
無にし給うことなく
無より救い給え
かくして夢」



「秋霜記 Ⅲ」:

「たった一つの路傍の茸が
甲子(きのえね)の大黒天の祭の夜に
微生物のような男を殺した
彼は宿なし碌でなし
六道銭にもこと欠く極道
どうやら極楽詣はできにくい
だから一日に二リットルも安酒を飲み
塩と掌(て)をなめ
運命を掌中の珠とした
焼酎は栄光よりも人を酔わせ
死を
詩以上に夢みさせる
今宵はなぜか夢見がいいぞ
詩が唇頭にたちのぼり
舌をしびらせる
ちっぽけな死
さえない死が
やってくるらしい
星落ちる村の暗さよ
狐泣く森のかなたの
夢ははるか
はるかな無」






こちらもご参照ください:

『現代詩文庫 62 窪田般彌詩集』















































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本