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『完訳 水滸伝 (一)』 吉川幸次郎・清水茂 訳 (岩波文庫)

「「それは山東済州(さんとうせいしゅう)管下の一つの水郷(すいごう)、土地の名は梁山泊(りょうざんぱく)とて、円形にて百里あまり平方、中なるは宛子城(えんしじょう)、蓼児洼(りょうじあ)。現在三人の豪傑が、そこにとりでを構えています。」」
(『完訳 水滸伝 (一)』 より)


『完訳 
水滸伝 
(一)』 
吉川幸次郎・
清水茂 訳
 
岩波文庫 赤/32-016-1


岩波書店 
1998年10月16日 第1刷発行
395p 地図2p
文庫判 並装 カバー
定価600円+税
カバー: 中野達彦



全十冊。
本文中挿絵22点、「注」に図版1点、巻末に「水滸伝関連地図」1点。



水滸伝 一 01



カバーそで文:

「宋江、林冲、公孫勝ら百八人の豪傑たちが、湖水の中の要塞「梁山泊」に拠って驚天動地の活劇を演じる武勇譚。しかし、後半は一転して悲壮な英雄悲劇に――。人々に愛好され読み継がれた『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』とならぶ中国四大奇書の一。(全10冊)」


忠義水滸伝 第一冊 目録:

訳者はしがき (吉川幸次郎/昭和21年7月31日)
改版改訳にあたって (清水茂/1998年8月)

引首
巻の一
 張天師 祈りて瘟疫(おんえき)を禳(はら)い
 洪太尉 誤って妖魔(ようま)を走(に)がす
巻の二
 王教頭 私(ひそ)かに延安府(えんあんふ)に走(のが)れ
 九紋竜(くもんりゅう) 大いに史家村(しかそん)を閙(さわ)がす
巻の三
 史大郎(したいろう) 夜(よ)わに華陰県(かいんけん)を走(のが)れ
 魯提轄(ろていかつ) 拳(こぶし)もて鎮関西(ちんかんさい)を打つ
巻の四
 趙員外(ちょういんがい) 重ねて文殊院(もんじゅいん)を修(おさ)め
 魯智深(ろちしん) 大いに五台山(ごだいさん)を鬧(さわ)がす
巻の五
 小覇王(しょうはおう) 酔って銷金(しょうきん)の帳(ちょう)に入り
 花和尚(かおしょう) 大いに桃花村(とうかそん)を鬧(さわ)がす
巻の六
 九紋竜(くもんりゅう) 赤松林(せきしょうりん)に剪径(おいはぎ)し
 魯智深(ろちしん) 火もて瓦罐寺(がかんじ)を焼く
巻の七
 花和尚(かおしょう) 倒(さかし)まに垂楊柳(すいようりゅう)を抜き
 豹子頭(ひょうしとう) 誤って白虎堂(びゃっこどう)に入る
巻の八
 林教頭(りんきょうとう) 刺(いれずみ)して滄州道(そうしゅうどう)に配(なが)され
 魯智深(ろちしん) 大いに野猪林(やちょりん)を鬧(さわ)がす
巻の九
 柴進(さいしん) 門には招く天下の客
 林冲(りんちゅう) 棒もて打つ洪教頭(こうきょうとう)
巻の十
 林教頭(りんきょうとう) 風雪(ふうせつ)の山神廟(さんじんびょう)
 陸虞候(りくぐこう) 火もて草料場(そうりょうじょう)を焼く
巻の十一
 朱貴(しゅき) 水亭(すいてい)に号(あいず)の箭(や)を施(はな)ち
 林冲(りんちゅう) 雪の夜に梁山(りょうざん)に上る


地図




水滸伝 一 02



水滸伝 一 03



◆本書より◆


「巻の二」より:

「「ご存じありますまいが、この祠(ほこら)の中のことは、その昔、開山の天師洞玄真人(どうげんしんじん)、お札を伝えて、申し渡されるには、この祠の中には三十六柱の天罡星(てんこうせい)、七十二柱の地煞星(ちさつせい)が、とりこめてあり、合わせて百と八人の魔王が中におるぞ。上に石碑(いしぶみ)を立てて、上代文字の護符を刻みつけ、しっかとここにとりしずむ。万一、やつらを世に出さば、下界の民草を悩ますは必定と、かようの仰せあるに、今、大将閣下は逃がされました。こりゃどうしたものやら。いつかはきっと面倒が起りましょう。」
 洪大将はそれを聞いて、からだじゅう冷汗、ぶるぶるふるえがとまりません。あわてて荷物を纏めますと、供人を従えて山をくだり、都へと立ち帰りました。」



「巻の四」より:

「知客(しか)、そとへ出て、趙大尽と魯達をば、客殿に案内してくつろがせますと、首座(しゅそ)をはじめとして坊主たち、長老に申し上げます、
 「さっきのあの出家をしたいという男、もの凄いかっこうをして、凶暴な面がまえ、あれを得度させるのは困ります。やがては一山の迷惑となりましょう。」
 長老、「あれは大檀那(だいだんな)趙大尽どのの従弟、あのお人の顔をつぶすことはできませぬ。そなたたちまあそう心配するな。わしが一つ見てみよう。」
 と一つまみの信香をくべ、長老、禅椅にあがられますと、膝を組んで坐ったまま、口に呪文を唱えつつ、禅定(ぜんじょう)に入られました。一つまみの香がなくなった頃、禅定からもどられ、坊主たちにむかい、
 「ぜひぜひ得度をさせなさい。この人、上は天の星に応ずる身、心ばえは剛直なり。いかにも今は凶暴で、星まわりも複雑なれど、やがては清浄を得て、なみなみならぬ正果を遂げる。そなたたちみなかないませぬぞ。わたしの言葉をよくおぼえておいて、じゃま立てしてはなりませぬ。」」



「巻の十」より:

「林冲、かの三人の声を聞けば、一人は看守、一人は陸副官、一人は富安です。
 林冲、「ありがたや、この林冲、もし藁家が倒れねば、こいつらに焼き殺されていたは必定。」
 そっと石をとりのけて、飾り槍をしごきつつ、片手で社の扉をひきあけ、大喝一声、
 「野郎ども、どこへ行く。」
 三人、あわてて逃げ出そうとしましたが、びっくりしすぎてあっけにとられ、動くことができません。林冲、手を挙げて、ぐさりと一槍、まず看守をつき倒します。陸副官は、
 「命ばかりはお助け。」
 と、いったまま、仰天して手足をばたばたさせるばかり、動くことができません。富安は、十歩ばかりも逃げぬところで、林冲に追いつめられ、胸のうしろをただ一槍、やはり突き倒されてしまいました。ぱっと向きを変えてひっ返して来ると、陸副官はやっと三、四歩あるいたばかり。林冲、どなりつけ、
 「大悪人、どこへ行く気か。」
 胸ぐら取ってぐっとぶらさげ、雪の上に投げとばすと、槍を地面につき立てて、足で胸ぐらを踏みつけ、ふところからかの刀を取り出すと、陸謙の顔へおしつけつつ、どなります。
 「悪者め、わしは元来お前とは、仇も恨みもない仲なのに、なぜこんなにおれをいじめる。これこそ、人殺しは大目に見ても、人情として許せぬ。」
 陸副官、いいわけして、
 「わたくしの知ったことではありません。大将の御命令で、来ぬわけには行かなかったのです。」
 林冲、しかりつけて、
 「悪党め、わしとお前は、幼ななじみ。今日はあべこべに、おれをあやめに来ていながら、手前の知ったことでないとは何だ。さあ、おれのこの刀をくらえ。」
 と、陸謙の上半身の着物をひきやぶり、短刀をみずおちめがけてただ一えぐり、七つの穴から血がほとばしり出ます。心臓肝臓を手にぶらさげ、ふりかえって見ますと、看守がはい起きて逃げ出そうとするところ、林冲、おさえつけて、しかりつけ、
 「きさまもこうした悪者であったか、さあ、わしの刀をくらえ。」
 と、早くも首を斬り落とし、槍の上にぶらさげました。引き返して来て、富安と陸謙の首もみな斬り落とし、短刀を鞘へ収めますと、三人の髪の毛を一つにくくりつけて、社の中にさげてはいり、山神さまおん前の供物机の上に並べます。」






こちらもご参照ください:

『完訳 水滸伝 (二)』 吉川幸次郎・清水茂 訳 (岩波文庫)
孟元老 『東京夢華録 ― 宋代の都市と生活』 入矢義高・梅原郁 訳注


本書「注」より:

「東京開封府については、孟元老『東京夢華録』がくわしく、その地理、風俗など、『水滸伝』の参考になることが多い。その入矢義高・梅原郁訳注(東京、岩波書店、一九八三)は、くわしい注や図によっていっそう役に立つ。」















































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うまれたときからひとでなし
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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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