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『完訳 水滸伝 (二)』 吉川幸次郎・清水茂 訳 (岩波文庫)

「「われわれ、空いっぱいほどの大罪を犯し、身を落ち着けるところがない。」」
(『完訳 水滸伝 (二)』 より)


『完訳 
水滸伝 
(二)』 
吉川幸次郎・
清水茂 訳
 
岩波文庫 赤/32-016-2


岩波書店 
1998年11月16日 第1刷発行
355p 
文庫判 並装 カバー
定価660円+税
カバー: 中野達彦



全十冊。
本文中挿絵22点。



水滸伝 二 01



カバーそで文:

「蔡太閤の誕生祝いの金銀珠玉を奪ったことがばれ、腕利きの警吏が人数を引き連れてやってきた。幸い、その応対をした地方官が宋江。危険を知らされた晁蓋・呉用・公孫勝らは難を避け、追っ手の官軍を思うままに翻弄しつつ梁山泊に向かう。(巻の十二―巻の二十二)」


忠義水滸伝 第二冊 目録:

巻の十二
 梁山泊(りょうざんぱく)に林冲(りんちゅう)落草(らくそう)し
 汴京(べんけい)城に楊志(ようし)刀を売る
巻の十三
 急先鋒(きゅうせんぽう) 東郭(とうかく)に功を争い
 青面獣(せいめんじゅう) 北京(ほっけい)に武を闘(たたか)わす
巻の十四
 赤髪鬼(せきはつき) 酔って霊官殿(れいかんでん)に臥(ふ)し
 晁天王(ちょうてんおう) 義(ちぎり)を東渓村(とうけいそん)に認(むす)ぶ
巻の十五
 呉学究(ごがっきゅう) 三阮(げん)に説いて籌(かず)に撞(い)らしめ
 公孫勝(こうそんしょう) 七星に応じて義に聚(あつ)まる
巻の十六
 楊志(ようし) 金銀の担(に)を押送(おうそう)し
 呉用(ごよう) 智もて生辰(せいしん)の綱(に)を取る
巻の十七
 花和尚(かおしょう) 単(ひと)りにて二竜山(にりゅうざん)を打ち
 青面獣(せいめんじゅう) 双(ふた)りして宝珠寺(ほうじゅじ)を奪う
巻の十八
 美髯公(びぜんこう) 智もて挿翅虎(そうしこ)を穏(なだ)め
 宋公明(そうこうめい) 私(ひそ)かに晁天王(ちょうてんおう)を放つ
巻の十九
 林冲(りんちゅう) 水寨(すいさい)にて大いに火(どうし)を併(う)ち
 晁蓋(ちょうがい) 梁山(りょうざん)にて小(すこ)しく泊(いりえ)を奪う
巻の二十
 梁山泊(りょうざんぱく)に義士は晁蓋(ちょうがい)を尊(あるじ)とし
 鄆城県(うんじょうけん)に月の夜に劉唐(りゅうとう)を走らす
巻の二十一
 虔婆(おにばば) 酔って唐牛児(とうぎゅうじ)を打ち
 宋江(そうこう) 怒(いか)って閻婆惜(えんばしゃく)を殺す
巻の二十二
 閻婆(えんば) 大いに鄆城県(うんじょうけん)を鬧(さわ)がせ
 朱仝(しゅどう) 義によりて宋公明を釈(ゆる)す





水滸伝 二 02



水滸伝 二 03



◆本書より◆


「巻の十三」より:

「この朱仝(しゅどう)、雷横の両人、なみの人ではないので、人人の推挙を受けて組頭になり、盗賊逮捕を専ら指揮しています。
 その日、知事が両人を役所まで呼び出しますと、挨拶して仰せを承わります。県知事、
 「わしが着任してより、耳にするところでは、本府済州管轄下の水郷梁山泊(りょうざんぱく)に、盗賊たち、人数あつめて強盗をはたらき、官軍に敵対するという。また気にかかるは、おちこちの村村、盗賊猖獗(しょうけつ)して、悪者がひどく多いとのこと。今、そちら両人を呼び出したのは、御苦労ながら、部下の兵卒をひきつれ、一人は西の門より出、また一人は東の門より出、手分けして巡邏(じゅんら)してほしいのだ。もし盗賊がいたら、そっこく召し取って連行するが、村民たちを騒がしてはならぬ。わしの知るところでは、東渓村(とうけいそん)の山上に、大きな紅葉(もみじ)の木が一本あり、よそにはない。そちたち何枚か取って来て、県庁に差し出せば、そこまで見廻ったしるしとする。それぞれ紅葉がなければ、そちたちはうそをついたことになる。役所はきっと処罰し、許しておかぬ。」
 二人の組頭、仰せを承わり、それぞれ引き取りますと、配下(はいか)の兵卒の点呼を行ない、手分けして巡邏に出ました。うち朱仝が人を引きつれて、西門から出て巡邏に行きましたことはさておき、こちらは雷横、その晩、二十人の兵卒を引きつれ、東門を出て、村村をめぐり巡察します。あちこちすっかりひととおり歩きまわったすえ、東渓村の山の上まで帰って来て、みなみな、かの紅葉を摘みとると、村へ下りて来ました。半里も行かぬうちに、早くも霊官廟(れいかんびょう)の前にさしかかりましたが、見れば本堂の扉が開いています。雷横、
 「この堂には、堂守もいないのに、堂の扉が開いている。怪しいやつが中にいるのではあるまいか。われわれ、ふみこんで調べて見よう。」
 と、一同松明(たいまつ)をかざして、ぱっと照らし出せば、何と供物机の上に、一人の大男が、まっぱだかで寝ています。」



「巻の十四」より:

「そもそも、かの東渓村(とうけいそん)の庄屋、名字は晁(ちょう)、名は蓋(がい)、先祖は本県本村の物持ちでございましたが、常ひごろから義理を重んじ金ばなれがよく、天下の豪傑たちと交わりを結ぶのが大好き、かけこんで来るものがあれば、よしあしを問わず、屋敷に泊め、いざ旅立ちという時には、わらじ銭をめぐんで援助してやります。何よりすきなのは槍術棒術、またよい体格の力持ち、妻をめとらず、ただもう一日じゅう筋骨を鍛錬しています。鄆城(うんじょう)県管下の東門外には、二つの村があり、一つは東渓村(とうけいそん)、一つは西渓村(せいけいそん)、ただ一すじの大きな谷川がさかいですが、むかし、この西渓村に、よく幽霊が出て、ひる日中でも人をたぶらかして谷の水中へ引きずりこみ、手のつけようがありません。ふとある日、通りかかった一人の僧、村人がくわしく事情を話しますと、その僧、ある場所を指さし、青石で宝塔を刻らせてそこに置き、谷の鎮めとさせました。すると西渓村の幽霊、みな東渓村へやって来ましたので、そのとき、晁蓋それを知って、大いに立腹、谷を渡って、青石の宝塔をただひとりで奪って来ると、東渓の方へ置きました。そこで、人人みな托塔天王(たくとうてんおう)と呼んでいます。晁蓋、その村にてはお山の大将、股旅渡世でその名を知らぬものはありません。
 さて早くも雷横、兵卒たちといっしょに、かの男を護送して屋敷の前まで来て、門をたたけば、屋敷うちでは、作男がそうと知って庄屋に伝えます。その時、晁蓋はまだ寝ていましたが、組頭(くみがしら)の雷さんが見えましたとの知らせに、あわてて門をあけさせます。作男、屋敷の門をあければ、兵卒たち、まずかの男を門番部屋に宙(ちゅう)づりにしました。」



「巻の十九」より:

「五人の豪傑、漁師の仲間十何人かをひきつれ、兵隊たちをすっかり蘆の沼の中で突き殺して、ぽつんとあとに残ったのは何部長一人。粽(ちまき)のようにしばられて、胴の間においてきぼりにされていましたのを、阮小二、船の上に引きあげ、指さしして罵りますには、
 「きさまは済州(さいしゅう)の民草いじめの毒虫だ。わしはもともと八つ割きにしてやろうと思っていたが、おまえには帰ってもらって、済州府庁の総元締め間抜けにこういわせることにした。おれたち石碣村(せっけつそん)の阮氏の三傑、また東渓村の天王晁蓋(ちょうがい)、どちらもうっかり挑撥するな。こちらもお前の町に米を借りに行かねえから、そちらもわしの村へ命を捨てに来るな。まともに相手になる気なら、お前のようなちっぽけな州知事の一人はおろか、蔡太閤がわれわれ召し取りのため執事を遣わそうと、たとい蔡京(さいけい)自身がやって来ようとも、わしは風穴の二十や三十あけて見せる。おれたち、おまえを帰してやるから、もう来るんじゃない。きさまのところのあの糞役人にいっておけ、命を捨てるには及ばねえとな。ここに街道はないから、この弟をつけてやって、追分けまで送ってやるよ。」
 そのとき、阮小七、小さな足速の舟の一艘に何濤を乗せ、街道の口まで送って行きますと、どなりつけ、
 「ここからまっすぐに行けば、道がみつかる。ほかの連中はみな殺しにしたのに、きさまだけこんなにぬけぬけと帰してやるのもおかしいや。州知事の間抜けに笑われそうだ。ひとつお前の耳たぶ二つ、記念に置いて行ってもらおう。」
 と、阮小七、身のまわりから短刀をぬき放ち、何部長の両方の耳をきり取れば、ぽとぽと鮮血がしたたります。」






こちらもご参照ください:

『完訳 水滸伝 (三)』 吉川幸次郎・清水茂 訳 (岩波文庫)
孟元老 『東京夢華録 ― 宋代の都市と生活』 入矢義高・梅原郁 訳注











































































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Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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