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『完訳 水滸伝 (七)』 清水茂 訳 (岩波文庫)

「これも天罡星(てんこうせい)のより集まるさだめ、おのずと機会が生まれ出たのでございます。」
(『完訳 水滸伝 (七)』 より)


『完訳 
水滸伝 
(七)』 
清水茂 訳
 
岩波文庫 赤/32-016-7


岩波書店 
1999年4月16日 第1刷発行
387p 
文庫判 並装 カバー
定価660円+税
カバー: 中野達彦



全十冊。
本文中挿絵22点。「注」に図版2点。



水滸伝 七 01



カバーそで文:

「梁山泊の一同、あの手この手と思案をこらして、棒をとっては天下無双の盧俊義を仲間に入れることに成功。次のターゲットは、蔡京の派遣した梁山泊平定軍の大将、人呼んで大刀関勝、あの三国志の英雄関羽直系の子孫である。一〇八人勢揃いに、あと一歩。」


忠義水滸伝 第七冊 目録:

巻の六十一
 呉用(ごよう) 智もて玉麒麟(ぎょっきりん)を賺(あざむ)き
 張順(ちょうじゅん) 夜る金沙渡(きんさと)を鬧(さわ)がす
巻の六十二
 冷箭(かくれや)を放って燕青(えんせい) 主(あるじ)を救い
 法場(しおきば)を劫(おび)やかして石秀(せきしゅう) 楼(ろう)より跳(と)ぶ
巻の六十三
 宋江(そうこう) 兵もて北京城(ほっけいじょう)を打ち
 関勝(かんしょう) 梁山泊(りょうざんぱく)を取らんことを議(ぎ)す
巻の六十四
 呼延灼(こえんしゃく) 月夜(つきよ)に関勝(かんしょう)を賺(あざむ)き
 宋公明(そうこうめい) 雪の天(ひ)に索超(さくちょう)を擒(いけど)る
巻の六十五
 托塔天王(たくとうてんおう) 夢の中に聖(ふしぎ)を顕(あら)わし
 浪裏白跳(ろうりはくちょう) 水の上に冤(うら)みを報(はら)す
巻の六十六
 時遷(じせん) 火もて翠雲楼(すいうんろう)を焼き
 呉用(ごよう) 智(ち)もて大名府(だいめいふ)を取る
巻の六十七
 宋江(そうこう) 馬歩(ばほ)三軍を賞(しょう)し
 関勝(かんしょう) 水火(すいか)二将を降(くだ)す
巻の六十八
 宋公明(そうこうめい) 曾頭市(そうとうし)を夜打(よう)ちし
 盧俊義(ろしゅんぎ) 史文恭(しぶんきょう)を活捉(いけどり)にす
巻の六十九
 東平府(とうへいふ)に誤(あやま)って九紋竜(くもんりゅう)は陥(とらわ)れ
 宋公明(そうこうめい) 義もて双槍将(そうそうしょう)を釈(ゆる)す
巻の七十
 没羽箭(ぼつうせん) 石を飛ばして英雄(えいゆう)を打ち
 宋公明(そうこうめい) 糧(かて)を棄(す)てて壮士(そうし)を擒(いけどり)にす
巻の七十一
 忠義堂(ちゅうぎどう)に石碣(せっけつ) 天の文(もじ)を受け
 梁山泊(りょうざんぱく)に英雄(えいゆう) 座(せき)の次(じゅん)を排(さだ)む

人物表




水滸伝 七 02



水滸伝 七 03



◆本書より◆


「巻の六十一」より:

「盧大尽、ひとわたり見まわすと、
 「おや、わしのあの男が見えないが。」
 といいもおわらぬうち、階段の前へやって来ましたのはひとりの男。」
「この人は、生粋(きっすい)の北京の人、こどものとき、両親をともになくしてから、盧大尽の家で養われて大きくなりました。全身雪のような白いはだのところから、盧俊義が名人上手にいいつけて、からだ一面にほりものをほらせましたが、玉のあずまやの柱に、やわらかいかわせみの羽しきつめたがごとく、錦のからだと見まがうほどで、誰であろうと、かなうものはありません。からだ一面のみごとなほりものばかりか、この人、おまけに、吹くの、弾(ひ)くの、歌うの、舞うの、なぞなぞ、しりとり、できぬものとてなく、へたなものもありません。それにまたあちこち地方の在郷ことばも話せ、さまざまの商売や芸人の符牒も心得ております。かてて加えて、身につけた腕前は、並ぶものなきありさま、一張(ひとはり)の弩(いしゆみ)を手に、三本の短い矢で、野外で生き物を射落とすのに、はずれたためしなく、矢が飛ぶや獲物が落ちて来ます。(中略)そのうえさらに、この人、目から鼻へ抜けるりこうさで、一を聞いて十を知ります。そのおとこ、名字は燕(えん)、(中略)お上へとどけた一字名は、青(せい)の字ひとつ。北京城内の人人は、いいやすいままに、みな浪子(ろうし)の燕青(えんせい)、いなせの燕青と呼んでいます。」
「さて、この燕青は、盧俊義の家の腹心の人、やはり広間のところへ来ると敬礼します。二列にわかれていずまいを正し、李固は左手に立ち、燕青は右手に立ちました。盧俊義、やおら口を切って、
 「わしは、きのう、八卦を見てもらったら、百日血光(けっこう)の災(わざわい)がわしにあり、東南百五十里以上の遠くへ避けるほかないそうだ。(中略)李固、きみは、(中略)旅支度をととのえて、わしといっしょに行くんだ。燕青小乙(しょういつ)は、家の倉庫の鍵をあずかってくれ。ただいますぐ李固と事務引きつぎをしろ。わしは、三日のうちに、出発するから。」
 李固、「ご主人、そりゃいけません。(中略)そんな易者の口から出まかせを聞いちゃいけません。じっと家にいたって、びくびくすることなどありますものか。」
 盧俊義、「わしの運命がそうきまっているんだ。逆らわないでおくれ。災難が来てからでは、後悔先に立たずだ。」
 燕青、「ご主人さま、この小乙の考えをお聞き下さい。山東の泰安州へ行くこの道は、ちょうど梁山泊のほとりを通ります。近年、梁山泊では、宋江一味のおいはぎがいて、押しこみ強盗、官軍が追捕(ついぶ)に行っても近づけません。(中略)きのうのあの易者の出まかせを信じちゃいけません。多分梁山泊のわるものが、陰陽師(おんみょうじ)に化けてそそのかし、ご主人をおびきよせて仲間入りさせようという魂胆。この小乙が、きのう、るすにしていたのはおしいこと、家にいたなら、ふたことみことで易者を問いつめ、こいつはとんだお笑い草になるところでしたのに。」」



「巻の六十五」より:

「さて、こちら宋江は、陣中の司令部の天幕に来て坐れば、早くも伏兵が索超を本部まで護送して来ます。宋江、それを見て、大喜び、兵隊たちを叱ってさがらせると、手ずから縄を解いて、幕中へ請じ入れ、酒を出してもてなし、やさしくなぐさめました。
 「ごらんなさい、われわれ兄弟たち、半分以上は朝廷の武官です。というのも、朝廷に眼力なく、欲ばり高官が政治をとりしきり、けがれた木(こ)っ葉(ぱ)役人が権力をすきほうだいにして、民草(たみくさ)をいじめるままにしておくがために、みな宋江に協力して、天に替わって道を行ないたいと願っているのです。もし将軍がお見棄てなくんば、いっしょに忠義にはげみましょう。」
 索超はもともと天罡星(てんこうせい)の数のうち、おのずと気があって、宋江に降参しました。」



「巻の七十一」より:

「その日、公孫勝と四十八名の道士たち、忠義堂で醮祭(しょうさい)を行ないます。毎日三たびの礼拝、七日めに満願となりました。宋江は上天の感応現われるようにと、わざわざ公孫勝に祝詞(のりと)をあげさせて、天帝に奏聞させ、毎日三たび礼拝します。ちょうど七日めのま夜なかごろになって、公孫勝は祭壇の一ばん上の段、道士たちは二ばんめの段、宋江ら親分衆は三ばんめの段、小頭たちと将校は壇の下にいて、みな上天に祈り、ぜひ感応を示してほしいと拝んでおりました。その夜、ま夜なかごろ、天上から絹を裂くような声が一声、ちょうど西北乾(いぬい)の方、天門のところで響きました。ひとびと、見れば、両方のはしが尖り、まんなかがひろがっている金の皿がつっ立っています。それを、天門が開く、ともいい、天眼が開く、ともいいます。なかから光線が人の眼を射、色あざやかな赤気がめぐり、中から一かたまりの火がうずまきを起こしながら出て来て、丸盆のような形になり、祭壇へころがり落ちて来ます。その火のかたまりは、祭壇をひとまわりころがると、さいごはま南の地面の下にもぐりこんでしまいました。このとき、天眼はもう閉じられ、道士たちは壇をおりて来ます。宋江、すぐさま、鉄の鋤鍬(すきくわ)で、土を掘りあげ、火のかたまりをさがさせますと、地下三尺ほども掘らぬうちに、一つの石碑が見つかりました。正面と両がわには、それぞれ天書の文字があります。」

「そのとき、何道士が天書の文字を判じて、蕭譲に書き写させましたが、読みおわりますと、ひとびとそれを見て、みな、とてもふしぎがりました。宋江、親分衆にむかい、
 「いやしき小役人のこのわたくし、さては上(かみ)、星のかしらに応ずる身であったのか。兄弟たちも、はてさてみな同じなかまの人だったか。いまこそ、上天の感応しるく、勢ぞろいすべきとき。将軍の数は満ち、上天は地位と人数とを分けて、大小二等ときめ給うた。天罡と地煞の星星、すべて順序がきまっている。親分衆はそれぞれその地位にしたがい、それぞれ意地をはるな。天のことばにさからってはならぬ。」
 ひとびと、「天地の意志、運命の定め、だれが破りましょうぞ。」」






こちらもご参照ください:

『完訳 水滸伝 (八)』 清水茂 訳 (岩波文庫)
孟元老 『東京夢華録 ― 宋代の都市と生活』 入矢義高・梅原郁 訳注


















































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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