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『岡鹿之助 展』 (2008年)

「現代のフランスの画家の中で、私は、ラプラードと云ふ人を尊敬して居ます。奇異な新運動にも旧式な印象派にもかゝわりなしに、氏は、五十年の長い年月を、只、おのが好む道一すぢに進んで来た人です。枯草を描き、麦畑を描き、田舎の寺を描き、野ばらを描いて楽しんで居ます。むしろ画家と云ふより詩人と云った方が、当って居るかも知れません。五十になって、野ばらをつんで居る少女の絵なぞを描いて居ます。」
(「岡鹿之助第一次フランス滞在期書簡」 より)


『岡鹿之助 展』


編集: 貝塚健
制作: 株式会社エディタス
発行: 石橋財団ブリヂストン美術館
2008年
187p 
28×22.5cm
並装
表紙デザイン: 若林伸重


ブリヂストン美術館
2008年4月26日―7月6日



作品図版(カラー)70点。巻頭に岡鹿之助肖像写真1点。
本文中図版(モノクロ)24点、「岡鹿之助 パリ短信」に図版(モノクロ)2点、年譜に図版(モノクロ)14点。

本図録はヤフオクで220円(+送料350円)で出品されていたのを落札しておいたのが届いたのでよんでみました。
作品図版は少ないですが、図版解説と資料が充実していてよいです。



岡鹿之助 2008年 01



内容:

謝辞
あいさつ (石橋財団ブリヂストン美術館)
Foreword (Bridgestone Museum of Art, Ishibashi Foundation)


岡鹿之助――または、絵空事の重さ (貝塚健)

図版
●1章 海
 1 信号台 1926年
 2 魚 1927年
 3 出船(朝) 1928年
 4 古港 1928年
 5 入江 1929年
 6 魚 1939年
●2章 掘割
 7 掘割 1927年
 8 セーヌ河畔 1927年
 9 橋 1927年頃
 10 掘割 1953年
 11 波止場 1954年
 12 運河 1967年
 13 河岸 1960年代
 14 水門 1968年頃
●3章 献花
 15 献花 1958年
 16 献花 1964年
 17 献花 1966年
 18 献花 1971年
 19 花籠 1947年
 20 赤い花 1963年
 21 三色菫 1951年
 22 三色スミレ 1954年
 23 パンジー 制作年不詳
 24 三色すみれ 制作年不詳
 25 三色すみれ 1967年
 26 遊蝶花 制作年不詳
 27 三色菫 1977年
●4章 雪
 28 積雪 1935年
 29 地蔵尊のある雪の山 1943年
 30 雪の牧場 1957年
 31 林 1963年
 32 雪 1969年
 33 雪の庁舎 1977年
●5章 燈台
 34 観測所 1951年
 35 燈台 1953年
 36 燈台 1954年
 37 燈台 1955年
 38 燈台 1967年
 39 岬 1975年
●6章 発電所
 40 水源地 1948年
 41 雪の発電所 1956年
 42 発電所 1956年
 43 山麓 1957年
 44 積雪 1957年
 45 村の発電所 1964年
 46 雪の変電所 1964年
 47 村の発電所 1972年
●7章 群落と廃墟
 48 望楼 1959―61年
 49 ファサード 1961―62年
 50 群落B 1961―62年
 51 群落(雪) 1961―62年
 52 群落 1961―62年
 53 群落A 1962年
 54 廃墟 1962年
●8章 城館と礼拝堂
 55 城(シャトー・フォル) 1931年
 56 礼拝堂 1949年
 57 僧院 1966年
 58 水辺の城 1968年
 59 朝の城 1970年
 60 礼拝堂 1970年
 61 館 1974年
●9章 融合
 62 雪 1928年
 63 雪の街 1930年
 64 廃墟(ミディ) 1939年
 65 橋 1948年
 66 窓 1949年
 67 遊蝶花 1951年
 68 三色スミレ 1955年
 69 花と廃墟 1966年
 70 段丘 1978年

資料1 岡鹿之助第一次フランス滞在期書簡 (貝塚健 編)
資料2 岡鹿之助 パリ短信 1931―39年 (田辺徹 編)
 ベートーヴェンの筆談手帳、出版に
 ほくろの引っ越しとネイルアート
 ドビュッシーと浮世絵版画
 シュルレアリスムと精神病患者の作品
 難点かくしが流行となる
 スタンダールのコーヒー好き
 絵画偽造の名人ジェルミッチ捕まる
 公害とマロニエ並木の復活
 モンパルナスの堕落
 音楽好きの動物
 「落選」サロン、アンデパンダン50年展
 パリの女たちも靴下を棄てる
 婦人帽は「芸術作品」という判決
 冬来る…と共に婦人靴に大異状
 今年のサロン・ドートンヌとボナール
 近頃パリでは大きな口が大流行
 作曲の偽造名人
 パリで讃えられる忠犬ハチ公
 パリの乞食新聞
 美しい指成金
 靴の美学(上) 型でも飾りでも 自分の足の欠点を考えて
 靴の美学(下) 踵は低い方へと 靴下は脚へ吸いつくように
 ブダペストの吉原流し 流行小唄から自殺者続出
 パリの街名
 ロオランサンの絵
 パリのお化粧 日本紙が大持て
 ロオトンドの復活
 十七年の病床からニジンスキー再起?
 ムーラン・ルージュの衰亡
 ロダンのバルザック像建立
 名指揮者の悲哀 トスカニーニ、米へ帰化
 フランスの映画3 期待も大きい!“北ホテル”
 カフェ二百五十年祭
 パリのレコード賞 シャルル・トレネへ
 女は真似好き! 人気俳優と流行調べ

岡鹿之助文献目録 (中村節子 編)
岡鹿之助年譜 (岡畏三郎 編/貝塚健 補)

Oka Shikanosuke, or the Burden of Invention (Kaizuka Tsuyoshi / Translation: Martha McClintock)

出品作品リスト




◆本書より◆


「岡鹿之助第一次フランス滞在期書簡」より:

「●1939(昭和14年)1月15日」
「昨年の暮以来私の画境に一大変転の訪れを感じ、夜分も充分に眠り得ぬ様な毎日を過しました。」
「しづかに拙画を眺めますのに、何んとしても物足りぬものを、申すならば紙背に感ずるのでありまして、(中略)一体之が本流の自己の路か、之を進めて行けばいいものか、といふ疑が生じて参りました。つまり自分の仕事の欠陥が減じて来れば来る程、この疑問が大きくなって参ったのです。
 そこで、私はその「疑問」の解剖に数日を費し、且つは、たまたま再読した荷風先生の随筆によって、果然と己本来の姿を見出したので御坐います。」
「省みますのに、(中略)私のひそかに尊敬するフランスの画人は(中略)只「色の世界」の人であるのに、どうして、私の心底に望む色の世界をないがしろにして形の表現にのみあくせくとしたので御坐いませうか、愚かといふよりも寧ろ奇妙な現象であります。(中略)写実の絵をつまらぬと子供の頃から思ってゐた私(今戸のアトリエで、私は「人形の散歩」を描いて僅に美校の写実教育の味きなさを医やした事を覚えてをります)が、その後写実の大切さを沁々と感じた迄はよかったのでありますが、写実の世界に擒となって了った事に気が付かなかったので御坐います。御承知の様に、芸術の世界は自由であります。己を自由に生かし切ってはじめてその人の個性なり天分なりが遺憾なく発揮出来るものを、私の如く「捕はれて」ゐては、ギゴチないもののみが生れて、吾も人をも楽しませるものが出来ないのは当然でありませう。趣味といふものを或る一部の芸術家達は蔑む様ですが、その人の趣味がひそんでゐる仕事こそ好ましと私などは常々考へてをります。絵画だけでなく西欧の音楽にしろ、小説にしろ、私の好むものは、写実を超した象徴的な作品ばかりであります。写実に非ずして詩でありました。中学時代から荷風先生や谷崎氏、解りいい所で佐藤春夫等の著作に愛着を感じ今日に至っても尚その愛する心を失はぬどころか、荷風先生の御作などには益々傾倒する一方でありまして、一方人格的に尊敬の念を禁じ得ない乍らも、その作品に興を覚えぬ島崎藤村氏の作品は、それが詩であり小説であっても、謂ふ所の自然派の作だからで御坐いませうか。私に云はせれば前者は色の世界の人々、後者は形の作家とも考へられ得るので御坐います。」
「吾が畏友ピエル・ロワ氏は五十にしてはじめて新進作家となりました。(中略)勿論ピエル・ロワさんは生れ乍ら大した天分は持ってをりません。私の目からも結構下手糞に思ふ所がありますが、とうとう自分独特の天地を築きました。偉いものだと思ってをります。」




岡鹿之助 2008年 02


「古港」(1928年)。



岡鹿之助 2008年 07


「群落(雪)」(1961―62年)。



岡鹿之助 2008年 03


「群落A」(1962年)。



岡鹿之助 2008年 04


「朝の城」(1970年)。



岡鹿之助 2008年 05


「橋」(1948年)。



岡鹿之助 2008年 06


「資料2 岡鹿之助 パリ短信 1931―39年」より。








こちらもご参照ください:

『生誕100年記念 岡鹿之助展』 (1998年)

































































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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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将来の夢: 石ころ。

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