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『神楽歌・催馬楽 (附 東遊・風俗)』 武田祐吉 編 (岩波文庫)

「風(かぜ)しも吹(ふ)いたれば
餘波(なごり)しも立(た)てれば
水底(みなそこ)霧(き)りて はれ
其(そ)の玉(たま)見(み)えず」

(「神楽歌」 より)


『神楽歌・催馬楽
(附 東遊・風俗)』 
武田祐吉 編
 
岩波文庫 黄/30-006-1 


岩波書店 
1935年7月15日 第1刷発行
1984年4月5日 第6刷発行
283p
文庫判 並装 
定価400円



本書「例言」より:

「神樂歌、催馬樂、東遊、風俗の諸本、及び此等と交渉のある歌謠を含み持つて居る二三の書物とを集め、其の本文を平假名に書き下し、出來るだけ妥當な漢字を充てて通讀に便ならしめたのが本書である。言はば、奈良時代から平安時代中期にかけて數多く現れた民謠の中、宮廷を中心とする當時の都人士の手に依り、主に一つの儀式を其の機縁として後の世に殘された少數の物を、なるべく漏らさずに書き集めた一冊のノートである。」


旧字・旧かな。



神楽歌・催馬楽 01



帯文:

「奈良時代から平安中期にかけての民謡の集成。神楽歌をはじめ、民衆の日常生活をいきいきと歌いこんだ催馬楽・風俗・東遊等を収録。」


目次:

例言

神樂歌
催馬樂
東遊
風俗
琴歌譜
承德本古謠集
神樂歌拾遺
風俗拾遺

諸本解説
注記
初句索引




◆本書より◆


「神樂歌」より:

「杓(ひさご)

   本
大原(おほはら)や淸和井(せかゐ)の淸水(しみづ)
杓(ひさご)もて
鷄(とり)は鳴(な)くとも
遊(あそ)ぶ瀨(せ)を汲(く)め
遊(あそ)ぶ瀨(せ)を汲(く)め
   末
我門(わがかど)の板井(いたゐ)の淸水(しみづ)
里遠(さととほ)み人(ひと)し汲(く)まねば
水(みづ)さびにけり
水(みづ)さびにけり」

「井奈野(ゐなの)

   本
しながとるや猪名(ゐな)の伏原(ふしはら)
あいそ
飛(と)びて來(く)る鴫(しぎ)が羽音(はおと)は
音(おと)面白(おもしろ)き
鴫(しぎ)が羽音(はおと)
   末
しながとるや猪名(ゐな)の伏原(ふしはら)
あいそ
網(あみ)さすや
我(わ)が夫(せ)の君(きみ)は幾(いく)らか取(と)りけむ
幾(いく)らか取(と)りけむ」

「脇母古(わぎもこ)

   本
我妹子(わぎもこ)にや一夜(ひとよ)肌觸(はだふ)れ
あいそ
誤(あやま)りにしより
鳥(とり)も取(と)られず
鳥(とり)も取(と)られずや
   末
しかりともや
我(わ)が夫(せ)の君(きみ)は
あいそ
五(いつ)つ取(と)り六(む)つ取(と)り々々
七(なゝ)取(と)り八(や)つ取(と)り々々
九(こゝ)のよ十(とを)は取(と)り
十(とを)は取(と)りけむや」

「篠波(さゝなみ)

   本
樂浪(さゝなみ)や
志賀(しが)の辛崎(からさき)や
御稻(みしね)舂(つ)く女(おみな)の佳(よ)さゝや
其(それ)もがな
彼(かれ)もがな
いとこせにせむや
   末 葦原田
葦原田(あしはらだ)の稻舂蟹(いなつきがに)のや
己(おのれ)さへ
嫁(よめ)を得(え)ずとてや
捧(さゝ)げては下(おろ)しや
下(おろ)しては捧(さゝ)げや
肱擧(かひなげ)をするや」

「木綿作(ゆふつくり)

   本
木綿(ゆふ)作(つく)る信濃原(しなのはら)にや
朝(あさ)尋(たづ)ね/\
朝(あさ)尋(たづ)ねや
   末
朝(あさ)尋(たづ)ね汝(まし)も神(かみ)ぞや
遊(あそ)べ/\/\/\
遊(あそ)べ/\遊(あそ)べや
   本
朝(あさ)尋(たづ)ね君(きみ)も神(かみ)ぞ
   末
汝(まし)も神(かみ)ぞ
   本
君(きみ)も神(かみ)ぞ
   末
汝(まし)も神(かみ)ぞ
   本
君(きみ)も神(かみ)ぞや
遊(あそ)べ/\/\/\
遊(あそ)べ/\
   末
遊(あそ)べ/\
汝(まし)も神(かみ)ぞ
遊(あそ)べ/\/\/\
遊(あそ)べ/\」



「催馬樂」より:

「梅枝(むめがえ)

梅(むめ)が枝(え)に來居(きゐ)る鶯(うぐひす)や
春(はる)かけて はれ」
春(はる)かけて鳴(な)けども
いまだや雪(ゆき)は降(ふ)りつゝ」
あはれ そこよしや
雪(ゆき)は降(ふ)りつゝ」

「竹河(たけかは)

竹河(たけかは)の橋(はし)の詰(つめ)なるや
橋(はし)の詰(つめ)なるや
花園(はなぞの)に はれ」
花園(はなぞの)に我(われ)をば放(はな)てや
我(われ)をば放(はな)てや
少女(めざ)伴(したぐ)へて」

「紀伊州(きのくに)

紀伊國(きのくに)の白良(しらゝ)の濱(はま)に
眞白良(ましらゝ)の濱(はま)に
來(き)て居(ゐ)る鷗(かもめ) はれ
其(そ)の玉(たま)持(も)て來(こ)」

風(かぜ)しも吹(ふ)いたれば
餘波(なごり)しも立(た)てれば
水底(みなそこ)霧(き)りて はれ
其(そ)の玉(たま)見(み)えず」

「靑馬(あをのま)

靑馬(あをのま)放(はな)れば獲(と)り繋(つな)げ
白靑馬(さをのま)放(はな)れば獲(と)り繋(つな)げ
しのいさやの しのいさやの
させ子(こ)が孫(ひこ)なる
さいろん子(こ)
またはた ろん子(こ)の子(こ)なる
さいろん子(こ)」

「伊勢海(いせのうみ)

伊勢(いせ)の海(うみ)の淸(きよ)き渚(なぎさ)に潮間(しほかひ)に
濱藻(なのりそ)や摘(つ)まむ
貝(かひ)や拾(ひろ)はむや
玉(たま)や拾(ひろ)はむや」

「陰名(くぼのな)

陰(くぼ)の名(な)をば何(なに)とか言(い)ふ
つらたり けふくなう
たもろ」



「東遊」より:

「春日歌(かすがうた)

神(かみ)の坐(ま)す春日(かすが)の原(はら)に
立(た)つや八少女(やをとめ)
立(た)つや八少女(やをとめ)
八少女(やをとめ)は
我(わ)が八少女(やをとめ)は神(かみ)の八少女(やをとめ)
神(かみ)の八少女(やをとめ)」



「風俗」より:

「伊勢人(いせびと)

伊勢人(いせびと)はあやしき者(もの)をや
何(な)ど言(て)へば
小舟(をぶね)に乘(の)りてや
波(なみ)の上(うへ)を漕(こ)ぐや
波(なみ)の上(へ)を漕(こ)ぐや」



「琴歌譜」より:

「短埴安振(みじかはにやすぶり)

少女等(をとめども)
少女(をとめ)さびすと
唐玉(からだま)を袂(たもと)に纏(ま)きて
少女(をとめ)さびすも」









こちらもご参照ください:

『古代歌謠集』 土橋寛・小西甚一 校注 (日本古典文学大系)
『新訂 梁塵秘抄』 佐佐木信綱 校訂 (岩波文庫)
『校註 閑吟集 附 狂言小歌集 室町小歌拾遺集』 藤田徳太郎 校註 (岩波文庫)
『新訂 閑吟集』 浅野建二 校注 (岩波文庫)
『校註 松の葉』 藤田徳太郎 校註 (岩波文庫)
『校註 松の落葉』 藤田徳太郎 校註 (岩波文庫)
『山家鳥虫歌 ― 近世諸国民謡集』 浅野建二 校注 (岩波文庫)
『定本 柳田國男集 第十七卷 民謠覺書 俳諧評釋 他』 (新裝版)





































































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