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逆柱いみり 『象魚』

「気狂いになればしあわせだろうか」
(逆柱いみり 「血痰処理」 より)


逆柱いみり 
『象魚』


青林堂 
1994年10月5日初版印刷
175p 
A5判 並装 カバー
定価980円



いみりワールドの原点。アヴァンポップ。


逆柱いみり 象魚 01


逆柱いみり 象魚 02


逆柱いみり 象魚 03


詩人の天沢退二郎氏が『馬馬虎虎(マーマーフーフー)』をヴィヨンと比較しつつ絶賛している手前味噌な記事を某新聞で見かけ、掲載されていた絵に衝撃を受けたので、最寄りの書店に走ったのが逆柱まんがとの出会いでした。
その後古書店で本書を600円くらいで購入。女工さんのイラストとサインらしきものが書き込まれていました。


目次 (初出):

骨 (ガロ 1993年7月号)
人参 (ガロ 1993年4月号)
マナティ (ガロ 1993年2/3月号)
金魚 (ガロ 1990年10月号)
耳 (ガロ 1990年11月号)
影 (ガロ 1990年11月号)
隕石 (ガロ 1990年11月号)
鯉 (ガロ 1990年1月号 原題「夏の日の鯉」)
動物園 (ガロ 1990年6月号)
象魚 (ガロ 1990年5月号)
血痰処理 (ガロ 1989年12月号 原題「女工」)
窓の外はドブ溜め (ガロ 1991年4月号)
うおのめ (ガロ 1994年7月号)
天気よかった日 (ガロ 1994年3月号)
請你帯我到医院去 (描き下ろし)

写真
四コマ漫画 (描き下ろし)

あとがき




◆あらすじと感想◆


「骨」:

散歩の途中に中学の時の理科の先生の家があった。先生の娘と海に行くが海岸は骨だらけだ。

「あせる事は何もない
目的地などはどこにもない
だらだらと過ごすだけだ」


幻想私小説まんが。


「人参」:

人参を妖怪城へ届ける。

中国志怪小説ふうでたいへんすばらしいです。


「マナティ」:

態度の大きい女子小学生の飼っているマナティーが死んだのでホルマリン標本にするためトラックで工場に運ぶ。

あだ名の付け方がすてきです。


「金魚」:

学校を早退して病院へ向うが、なぜかミステリアスな一つ目ウサギがついてくる。一つ目ウサギにそそのかされてデパートの屋上から金魚を投げて遊ぶ。一つ目ウサギはバレリーナの少女で、少女は屋上からかっこよく身を投げる。


「耳」:

耳の垢が溜ると虫になると信じていた頃の思い出。耳の垢の虫に同化して虫の目線でものを見ると新鮮だ。


「影」:

影の上しか歩かなかった友の思い出。

 
「隕石」:

路地の奥の共同便所の地べたに転がっていた隕石と思われる物体の思い出。


「鯉」:

夏休みのニワトリ当番に登校したら池からでかい鯉が飛び出していた。池に戻してやろうと苦闘しているうちに鯉は車に轢かれて死んでしまう。


「動物園」:

親子三人で動物園に行きました。動物園で撮った写真には覚えのないものがたくさん写っていました。

「ほらっ 幽霊の家だ」
「そういえばあの窓に出たわねえ」
「ねばねばと面白かったなあ」
「においがよかったわね」


たいへんすばらしいです。

  
「象魚」:

日曜日に知らない町で象魚を見る。
そして食べる。

「象魚の肉はやや生臭く大味なものだった」

はらいそ風味。


「血痰処理」:

工業高校を出て工場で働く女工さん。仕事は血痰処理。
のどから太い毛が生えたので困る。

『馬馬虎虎(マーマーフーフー)』の原点といえるすばらしい作品であります。女工さんファン必見。「アメリカ」の床屋さんも出てきます。


「窓の外はドブ溜め」:

汚水に沈んだ町。

「くさくて頭痛がする
綿のようなカビがはんしょくしてる気分で
半分獣になった自分が見世物になって…そんな夢から戻った」


デヴィッド・リンチ風味。


「うおのめ」:

一つ目のウサギと女工さん。女工さんはウオノメを歯でコリコリちぎるのが好きだ。


「天気よかった日」:

一つ目ウサギの散歩。


「請你帯我到医院去」:

使える中国語講座とその図解。


著者による「あとがき」より:

「近所の路地をフラフラと歩く、樹や草や水やら土やらのいい匂いが溢れてる。猫はよく見かけるが逃げてしまうものが多い。しかしなつっこい者もいて、そんな奴ののどを撫でさすってくたくたにしてやるのは楽しい。(中略)欲しいものはない、さみしい事はない、腹が立っても嫌な事があっても忘れっぽくなった。ちょっとした匂いがあればそこそこしあわせなものだなと枯れたような事を思う。」


逆柱いみり 象魚 04


「骨」より。

「これっ 心臓の骨だよ」


























































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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