C. Whistler and D. Bomford 『The Forest Fire by Piero di Cosimo』

Catherine Whistler
and David Bomford
『The Forest Fire
by Piero di Cosimo』


Ashmolean Museum, Oxford, 1999
24pp, 20x20cm, paperback



イタリア・ルネッサンスの画家ピエロ・ディ・コジモ(1461―1522)のパネル画「森の火事」(油彩、板、71.2×202cm、1505年頃)を解説した小冊子(ホチキス留)です。


piero di cosimo - the forest fire 01


内容:

The Technique of The Forest Fire
The Animals and Birds
The Fire and its Context
The Subject of the Painting
The Patron and the Artist

Piero di Cosimo's life according to contemporary documents
Suggestions for further reading
Acknowledgements



piero di cosimo - the forest fire 03



◆概要◆


本作はフィレンツェで1470―1520年頃に流行した spalliera panel (大型の櫃や腰掛など、あるいは壁面の肩 spalle より高い位置に嵌め込んで装飾とするために描かれた板絵)として作成されたものと思われる。spalliera panel は、結婚に伴う部屋の改装時などに作成され、主題は古典作家か中世ロマンスから取った市民の義務や家系にまつわるもの、あるいは結婚の美徳などに関するものが多かった。本作はその点、異例だが、生前ピエロ・ディ・コジモはその独創性によって高く評価されており、依頼主が画家に独創性を発揮するよう望んだ結果このようなものになったのではないか。
本作に描かれているのは火事とそれが引き起す恐慌状態(パニック)であるが、謎めいた要素が数々見られる。特に人面の鹿と豚の存在である。
本作の主題の出所を、著者はルクレティウスの『物の本質について』に求める。

「口のきけない家畜でも、又野獣の類でも、恐怖とか苦痛の起きた場合とか(中略)にはそれぞれ異なった色々な声を発する以上、いわんや声とか舌の活発に働く人類が種々異なる感情に応じて種々変った声をたてて物事を区別するからとて、何も大して不思議ではないではないか。」
「銅とか、金とか、鉄とかが(中略)発見されるに至ったのは、(中略)大きな山嶽の中で火事が広漠たる林を、熱を以て焼きはらった時に発見されたものである。(中略)焔の熱がすさまじい音をたてて、林を深い根まで食い尽し、大地を火で焼き尽してしまった時、熱した脈から地のくぼんだ処へ銀とか、金とか、又銅とか、鉛とかの流れが集って溜っていた。」
(ルクレティウス『物の本質について』、岩波文庫、1961年、より。)

そういうわけで、主題は言語の起源であり、金属の使用による人類社会の発展であると著者は結論付けています。


piero di cosimo - the forest fire 04


人面の豚。


piero di cosimo - the forest fire 02


そのX線画像。元々描かれていた豚の頭部が消されて、人面に描きかえられているのがわかります。






























































































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