塚本邦雄 『句句凜凜 ― 俳句への扉Ⅰ』

塚本邦雄 
『句句凜凜
― 俳句への扉Ⅰ』


毎日新聞社 
昭和56年2月10日 印刷
昭和56年2月25日 発行
285p 
四六判 
丸背紙装上製本 貼函 
定価2,800円
装幀: 政田岑生



くくりんりん。塚本邦雄歳時記全三冊の一。「忌日暦」篇。正字・正かな。


塚本邦雄 俳句への扉 01 01


帯文:

「目利きが選んだ秀作で飾る諷詠12ケ月
古今東西の年中行事や花鳥禽獸暦の間に選りすぐつた名作を鏤め、一読百卷の書のエッセンスを盛りこむ。露風忌とリルケ忌が肩を竝べるなど、全く新しい万國歳時記が誕生した。」



帯背:

「開かれた歳時記
新しい俳句入門」



目次:

睦月
如月
彌生
卯月
五月
水無月
文月
葉月
長月
神無月
霜月
師走

跋 カフカ忌は水無月三日
掲載俳人名索引



塚本邦雄 俳句への扉 01 02



◆本書より◆


「跋」より:

「藝術家を中心とした、万國忌日暦を編んでみた。」
「『句句凜凜』は、「サンデー毎日」一九七九年九月号から連載中の「俳句への扉=句々琳々」を、とりあへず五十回分、標題・構成等にやや手を加へて、一冊に纏めたものである。」
「いつの日か「萬國詩歌歳時記」と銘打つて、古今東西の年中行事や花鳥禽獸暦、それに即した名作を、選りすぐつて鏤め、一讀百卷の書のエッセンスを味はうやうな書物を作つてみたい。この本は、その幻影の一部分を垣間見るための、言はば試作品である。」



「彌生」より:

「三月五日は二十四節氣の啓蟄(けいちつ)。「蟄蟲(ちつちゆう)戸を啓(ひら)く」で、穴籠りしてゐた昆蟲・爬蟲のたぐひが、ぞろぞろ出て來る季節を示す。だが、まだとてもとても、そんな氣の早い蟲はゐまい。薩摩以南の話だらう。藁塚の底や山懷の洞穴に、蛇や蜥蜴(とかげ)や蛙やその他のぎつしり固まつて眠つてゐる樣を想像し、次に「啓蟄」と聞くと、樂しくもあり、氣味惡くもなる。
  啓蟄や雲を指すなる佛の手  加藤楸邨
  啓蟄や幼弱(えうじやく)の掛く近視鏡  秋元不死男
  啓蟄や洗へば白き土不踏  白岩三郎
  啓蟄や爺婆たちもひた駈くる  瀧春一
  啓蟄や胎兒しづかに下降して  後藤昌治
  啓蟄や鍛冶の水と火地にまろび  鷹羽狩行
  啓蟄や人棲む裏戸いつも濡れ  小原渉
  啓蟄や翅(はね)よりあおき窓の數  澁谷道
  啓蟄や湯氣ほのぼのと實母散(じつぼさん)  岩村蓬
  啓蟄の晝を灯(とも)して稿(かう)急ぐ  久保田月鈴子
  啓蟄の森の奧より水流る  高桑冬陽
  啓蟄の鳥語(てうご)すずろに美しく  後藤夜生
  啓蟄の握り拳(こぶし)をふところに  櫻井博道
  地蟲出づふさぎの蟲に後れつつ  相生垣瓜人
  蟻かなし穴出づる日も土を咥(くは)へ  上村占魚」



「葉月」より:

「  8月31日 ボードレール忌 1867(47)
  9月1日 夢二忌 1934(51)
       ティボー忌 1953(74)
       太陽王ルイ14世忌 1715(78)
       モーリアック忌 1970(86)
       ルソー(畫家)忌 1910(67)
    4日 グリーク忌 1907(65)
    7日 鏡花忌 1939(67)
    9日 マラルメ忌 1898(57)
       ロートレック忌 1901(38)
 目も眩(まばゆ)いと言ふのも變だが、ともあれ「萬國歳時記」が生れたら、ここらあたり、豪華キャストの映畫さながら、名前の羅列だけで、味と陰翳たつぷりの連歌的世界が出現する。さうだ連歌もいづれ、そこまで擴がり、かつ華やぐことだらう。」



塚本邦雄 俳句への扉




こちらもご参照下さい:

塚本邦雄 『華句麗句 ― 俳句への扉Ⅱ』












































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本