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塚本邦雄 『けさひらく言葉 その一』

塚本邦雄 
『けさひらく言葉 
その一』


毎日新聞社 
昭和57年5月20日 印刷
昭和57年6月5日 発行
237p 
18×12cm 
丸背紙装上製本 貼函 
定価980円
装幀: 政田岑生



本書「今朝開くまで」より:

「毎日新聞全国版、第一面、題字下に連載中のコラム「けさひらく言葉」の、第一回、昭和五十六年七月一日より、翌五十七年一月三十一日まで、二百十一回分を、取りあえず一本に纏めた。」
「装釘は常のごとく政田岑生氏の手になるが、このたび箱に飾ったのは、東ドイツ一九六六年発行の草花切手で(中略)。私も植物切手を愛して、機会があれば物色するが、このシリーズを越える鮮麗斬新なものを、寡聞にして知らない。」



新字・新かな。一頁に短い引用文一つと著者によるコメントを収録。序文は「その一」「その二」共通です。
本書と同傾向の著作に、『花より本』(創拓社、1991年)があります。


塚本邦雄 けさひらく言葉 01 01


帯文:

「「けさひらく言葉」のひとつひとつが、あなたの心をひらいてくれる。香り高い花の蕾のように――。」


帯背:

「言葉の小箱」


内容:

明日への花

高浜虚子 「虹」
リルケ 『マルテの手記』
堀辰雄 『ルウベンスの偽画』
「論語・先進篇」 (未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。)
森林太郎 (君に問ふその唇の紅はわが眉間なる皺を熨す火か)
チェスタートン 『木曜日の男』
夏目漱石 『草枕』
『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』
世阿弥 「風姿花伝」
宮沢賢治 『ビジテリアン大祭』
「旧約・雅歌」
北原白秋 (深々と人間笑ふ声すなり谷一面の白百合の花)
親鸞 「歎異鈔」
ボードレール 「旅の誘ひ」
中島敦 『山月記』
紫式部 「源氏物語・帚木」
保田与重郎 『日本の橋』
「新約・コリント後書」
与謝蕪村 (恋ひわたる鎌倉武士の扇かな)
「子浄瑠璃・義氏」
ルナール 『博物誌』
道元 「正法眼蔵」
安部公房 『空中楼閣』
セネカ 「怒りについて」
「菜根譚」
渡辺直己 (除虫菊植ゑつづきたる故郷(ふるさと)の海辺の村を恋ひつつ眠る)
「古事記」
サキ 『開いた窓』
藤原俊成 「六百番歌合」
服部達 『われわれにとって美は存在するか』
リラダン 『残酷物語』「ヴィルジニイとポオル」
「旧約・伝道之書」
北壮夫 『寂光』
伊東静雄 『夏花』
久生十蘭 『野萩』
プラトン 『パイドロス』
後白河法皇 「梁塵秘抄口伝集」
「新約・マタイ伝」
石田波郷 (百日紅ごくごく水を呑むばかり)
萩原朔太郎 『宿命』
清少納言 「枕草子」
五木寛之 『夏の怖れ』
ニーチェ 『悲劇の誕生』
近松門左衛門 「堀川波鼓」
「金剛般若経」
斎藤茂吉 (沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ)
竹内健 『ランボーの沈黙』
『ゲーテ格言集』
「吾妻鏡」
テオグニス 「エレゲイア詩集」
花田清輝 『錯乱の論理』
「法華経・薬草喩品」
上村占魚 (水よりも淡きゆふべよ夏桔梗)
ホイジンガ 『ホモ・ルーデンス』
大岡信 『狩月記』
「摂津風土記」
小松左京 『時の顔』
ジッド 『狭き門』
「旧約・詩篇」
福永武彦 (コスモスを縁飾りせる道にして夢幻の如し青き海見ゆ)
エンゲルス 『家族・私有財産・国家の起源』
伊藤左千夫 『野菊の墓』
寿岳文章 「装本覚え書」
藤原良経 「新古今和歌集・仮名序」
ヘルマン・ヘッセ 『車輪の下』
夢窓国師 「夢中問答」
岡本かの子 (書きさしてのんど渇けば鳥獣のあらあらしさに葡萄をむさぼる)
辻邦生 『安土往還記』
ユイスマン 『大伽藍』
シェイクスピア 『オセロー』
加藤周一 『1946文学的考察』
ダンテ 『神曲・地獄篇』
加藤楸邨 (十六夜や妻への畳皎々(かうかう)と)
コクトー 『雄鶏とアルルカン』
柳田国男 『遠野物語』
「堤中納言物語・花々のをんな子」
村井弦斎 『食道楽』
アンリ・ド・レニエ 「半面の真理」
「仏説阿弥陀経」
岡井隆 (人の生(よ)の秋は翅(はね)ある生きものの数かぎりなくわれに連れそふ)
ロアルド・ダール 『味』
南方熊楠 「飛鉢の話」
鴨長明 「方丈記」
フレイザー 『金枝篇』
「碧巌録」
篠田悌二郎 (蜻蛉(せいれい)の紅の淋漓を指はさむ)
「詩経・詩序」
『コロンブス航海誌』
穂積陳重 『法窓夜話』
亀井勝一郎 『大和古寺風物誌』
カロッサ 『美しき惑いの年』
山本常朝 「葉隠」
谷崎潤一郎 (当用漢字新仮名づかひ我は知らず書痙の手もて国風をしるす)
サント・ブーヴ 『月曜閑談』
辻井喬 『けものみちは暗い』
九鬼周造 『「いき」の構造』
菅原孝標女 「更級日記」
牧野信一 『月光と吊籠と』
「新約・マタイ伝」
原裕 (吾亦紅(われもこう)をとこの歌は風に散り)
ゲーテ 『イタリア紀行』
「書経」
芥川龍之介 『薮の中』
アンドレス 『蝶の復讐』
志賀直哉 『暗夜行路』
「摩訶止観」
前川佐美雄 (あかあかと紅葉を焚きぬいにしへは三千の威儀おこなはれけむ)
シラー 『美学芸術論集』
「宇治拾遺物語」
ブレヒト 『三文オペラ』
本居宣長 「鈴屋答問録」
梅原猛 『歌の復権』
「観無量寿経」
角川春樹 (風立ちぬ爽(さや)けき街を父の逝(ゆ)く)
ブルトン 『ナジャ』
釈迢空 『死者の書』
スピノザ 『エチカ』
「西郷南洲遺訓」
カミュ 『異邦人』
「旧約・レビ記」
佐佐木幸綱 (霜柱鋭く育つあかときに吾子はもきらりと宿りたるとや)
エドモン・ロスタン 『シラノ・ド・ベルジュラック』
佐藤春夫 『退屈読本』
スウィフト 『ガリヴァ旅行記』
「松浦宮物語」
「十八史略」
親鸞 「教行信証」
橋本多佳子 (星空へ店より林檎あふれをり)
円地文子 『小町変相』
「無名草子」
ブリア・サヴァラン 『美味礼讃』
日蓮 「開日抄」
葛原妙子 (木莓の燈火(とうか)を欲(ほ)りせり階のぼり耀(かがや)く冬のラムプコレクション)
井上ひさし 『私家版日本語文法』
カエサル 『ガリア戦記』
「太平記」
ピエール・ロチ 『氷島の漁夫』
「大鏡」
「コーラン」
宝井其角 (鴫たちてさびしきものを鴫居らば)
メルヴィル 『白鯨』
『アベラールとエロイーズ』
三島由紀夫 『秘楽』
魯迅 『野草』
ヴォルテール 『哲学書簡』
「臨済録」
前田夕暮 (雪はにがき杏仁水(きゃうにんすい)のにほひしてわがゆづり葉にふりつもりたり)
ミルトン 『失楽園』
岡倉覚三 『茶の本』
陶靖節 「帰去来辞」
ガリレオ・ガリレイ 『天文対話』
「去来抄」
「新約・ルカ伝」
加藤かけい (葱ごときが九頭竜川を流れをり)
ダーウィン 『種の起原』
川端康成 『ざくろ』
「西行物語」
ラ・フォンテーヌ 『寓話』
横光利一 『旅愁』
「法華経・五百弟子受記品」
石川不二子 (うつくしきねむりを欲(ほ)れり新雪はまどかに古き雪をおほひぬ)
マキャヴェッリ 『君主論』
田中隆尚 『桃園譜』
メーテルリンク 『青い鳥』
樋口一葉 『たけくらべ』
多田智満子 『魂の形について』
「阿弥陀経」
加藤郁乎 (薄氷(うすらひ)の有無の重なりうすれつゝ)
ゴーゴリ 『外套』
小川国夫 『海の声』
コナン・ドイル 『バスカーヴィル家の犬』
「錦明竹」
「荘子」
「旧約・申命記」
鐸木孝 (息づきて此のやすらぎを愛(を)しみをり臘梅(らふばい)は風にかすかなる花)
小林秀雄 「批評家失格」
ラブレー 『ガルガンチュワ物語』
新井白石 「西洋紀聞」
吉田兼好 「徒然草」
「十八史略」
飯田龍太 (雪山を灼(や)く月光に馬睡(ねむ)る)
デフォー 『ロビンソン漂流記』
貝原益軒 「養生訓」
石川淳 『葦手』
ヤンソン 『ムーミン谷の冬』
阿仏尼 「十六夜日記」
「旧約・サムエル後書」
吉野秀雄 (伴へる真少女(まをとめ)の頬映るばかりくれなゐの梅燃えさかりたれ)
藤原定家 「明月記」
イヨネスコ 『頻死の王』
和辻哲郎 『古寺巡礼』
『マヌの法典』
松原好之 『京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ』
「書経」
中村草田男 (冬空西透きそこを煙ののぼるかな)
モリエール 『人間ぎらひ』
「淮南子」
有島武郎 『惜みなく愛は奪ふ』
「源平盛衰記」
アンリ・ミショオ 「日本旅行記」
「新約・マタイ伝」
清水房雄 (手風琴(てふうきん)一ついだきて家出でし弟を待つながき夜々あり)
スタインベック 「菊」
内田百間 『百鬼園先生言行録』
ロオトレアモン 『マルドロオルの歌』
高橋和巳 『文学の責任』
矢野健太郎 『数学物語』
「観無量寿経」
横山白虹 (ラガーらのそのかち歌のみじかけれ)

今朝開くまで

索引 
 引用文献索引
 引用人名索引



塚本邦雄 けさひらく言葉 01 02



◆本書より◆


「「男美男にておはしける、名字は誰」と問ひ給へば、「物くさ太郎」と答へける。
「御伽草子・物くさ太郎」

 世にも稀な怠け者、垢と虱にまみれた太郎だが、もともと氏あり才あり、強引にくどき落した宮仕えの女房もついに惚れ直す。磨き立てれば三国一の男振り。文徳天皇の御目にとまって、後には甲斐・信濃の総務長官に出世したという果報者。縦の物を横にするのも面倒がる君にも、いつの日か運がむいて来る。寝て待つに限る。」

 
 
「野壺も井戸茶碗も無銘である。無銘こそ王者の資格である。
外村吉之介『日々美の喜び』
 
 万葉集・古今集等に鏤められた、あの美しく芳しい作者不詳歌、よみ人知らずの歌。誰が描いたとも知れぬ絵巻物、壁画、屏風絵。それは遠い昔の日本の、つつしみ深く心豊かな人々が生きていた時代の夢物語だろうか。ハンカチから紙屑籠まで、それも横文字の署名入の品々に取囲まれつつ、世は貧しくなりまさるのみである。」



「明日への花」より:

「ある日、ふと心の中に蘇って来る言葉がある。日本の詩歌、西欧の劇、アメリカの小説、聖句、経文等、かつて何気なく読み過していた一行が、一句が、思いがけぬ鮮やかさで、新しい響きを伴って浮び上って来る。」
「必ずしも英雄豪傑の壮語のたぐいが、人を鼓舞するとは限るまい。常識的な理想論や、結構泥棒めいた人生訓が、人を導くとは考えられない。その逆ではあるまいか。聞き飽いたような格言は、私自身聞きたくも伝えたくもない。時には微量の毒を含む、鋭いサゼッションも紹介しよう。憂愁に満ちた、小説の主人公の言葉も引用しよう。人はその状況に応じ、心理状態に即して、その言葉を、有効に、適切に、わがものとするだろう。」
「出典紹介を含めて計五十字、それに付随する鑑賞の言葉が計百五十字、合計二百字の中に、今朝、最初の、爽やかな贈物が満ちている、そう考えて受取ってほしい。
 出典は古今東西のあらゆる作品を網羅し、決して偏ることのないように配慮しつつ、今後も極微詞華集を編み続けるつもりである。同種同趣の詞・句が連続しないようにも配列に留意した。ただ、原則として、日曜日は短歌・俳句を紹介し、土曜日は仏典・聖書その他、信仰の書からの引用に努める。なお、言うまでもないことの一つだが、花鳥風月を随所にちりばめて季節感を盛り、生誕暦・忌日暦にちなんで作品を収録するなど、半歳一年を展望すれば、歳時記の味わいも醸し出すように工夫した。」



塚本邦雄 けさひらく言葉
















































































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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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