新倉俊一 『西脇順三郎全詩引喩集成』

「旅人は待てよ
このかすかな泉に
舌を濡らす前に
考へよ人生の旅人」

(西脇順三郎 「旅人かへらず」 より)

「Stranger, whoe'er thou art, that stoop'st to taste
These sweeter streams, let me arrest thy haste ;」

(Edward Sherburne 「The Fountain」 より)


新倉俊一 
『西脇順三郎全詩引喩集成』


筑摩書房 
1982年9月30日 初版第1刷発行
1994年12月10日 初版第2刷発行
412p 索引xxi 口絵(モノクロ)4p 
四六判 丸背紙装上製本 貼函 
定価6,000円(本体5,825円)
外函図版: ギリシア彫刻「人間とケンタウロス」
扉写真: エクゼキアスの杯「航海するディオニソス」



「引喩と典拠――はしがき」より:

「西脇順三郎の詩は難解である、という批評がしばしば世間で聞かれる。現代詩の難解さには大まかに言って二つの理由があり、ひとつは比喩的な表現のそれである。今ひとつは典拠の問題である。前者の比喩的表現は詩になじんでいるひとにはさほど難解ではないにしても、後者の典拠となると作者に近しい詩人たちでも不明な点が多く、まして一般の読者には皆目、見当がつかない。」
「この(中略)詩人の才能は、典拠それ自体よりも、それをいかに諧謔を以って変容したかにあることは、改めてここに言うまでもない。(中略)ここでは将来の研究のための基礎資料として、出典をあげることに限定した。」
「この研究をまとめることに最大の協力をして下さったのは、ほかならぬ西脇先生ご自身であるが、本書の準備中に逝去された。オルフォイスの遺芳が散逸しないために、ここに一冊の書物として集めておく次第である。」



西脇順三郎全詩引喩集成 01


帯文:

「奔放広大にして古今東西雅俗にわたる西脇順三郎の言語宇宙にわけいる手がかりとして、本書はその詩法の重要な一環をなす引喩の典拠を提示する。」


西脇順三郎全詩引喩集成 02


西脇順三郎全詩引喩集成 03


目次:

口絵
 李成・王暁「読碑窠石図」大阪市立美術館蔵
 クールベ「眠るブロンドの女」
 チェリーニ「フランシス一世のための金の塩壺」
 クールベ「クールベさん、今日は」
 ダヴィド「レカミエ夫人」
 写楽「江戸兵衛」
 写楽「宮城野」
 マン・レイ「ジョイスの肖像」
 ゴヤ「自画像」

引喩と典拠――はしがき
凡例

第一部 詩の背景
 旅人よ、かえれ 1922―33
 幻影の人 1934―50
 果てしない恋心 1951―62
 旅人の話 1963―68
 自然への回帰 1969―82

第二部 引喩出典解説
 Ambarvalia
 あむばるわりあ
 旅人かへらず
 近代の寓話
 第三の神話
 失われた時
 豊饒の女神
 えてるにたす
 宝石の眠り
 禮記
 壤歌
 鹿門
 人類
 付録 トリトンの噴水

書誌
詩作品目次
植物名一覧
人名・書名索引



西脇順三郎全詩引喩集成 04



◆感想◆

本書「はしがき」で、著者は「膨大な量の典拠引用の説明に、詩人や読者の多くは反発を感じられるかもしれないが、」と書いていますが、むしろ本書はコンサイス過ぎるのではないでしょうか。出典の提示もわりといいかげんです。口絵図版にしてもクールベや写楽やレカミエ夫人なら他でいくらでもみられます。われわれが見たいのは「パウンドののどだんご」であり、「ドロシー・オズボーンの肖像」です。せめてトマス・ビウィックの木版画くらいは掲載しておいて欲しかったところです。
あと、本書は『西脇順三郎全詩集』(筑摩書房)と対応するように作られているため、同書をもっていない読者にはやや不便です。

とはいうものの、本書はたいへん役に立つ本なので、おのおの書き込みなどしつつ活用するとよいです。
わたしもけっこう書き込みをしてしまったので古本屋に売るとき消すのがたいへんであります。

今回写真撮影するので一部書き込みを消したであります。


西脇順三郎全詩引喩集成 05































































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本