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『夢人館 10 リヒャルト・エルツェ』

「彼は、(中略)終始その内向的な自分の資質を保ち続けた。」
(星野勝成 「洞窟の画家リヒャルト・エルツェ」 より)


『夢人館 10 
リヒャルト・エルツェ』


岩崎美術社 
1997年6月8日初版第1刷発行
71p 
30.5×25.5cm 
角背クロス装上製本 カバー 
定価6,000円+税
企画・編集: 小柳玲子
装幀・構成デザイン: 林立人
編集協力: 大西和男

付:
夢人館通信 Oneiros No. 5 (英文、6p)



リヒャルト・エルツェ(Richard Oelze)画集。
作品図版64点(カラー46点/モノクロ18点)。その他図版多数。


夢人館 エルツェ 01


帯文:

「自分の心の中に
 深く沈む
ここより
 深いところは
世界の
 どこにもない

シュルレアリスムの黙示録!!」


 
目次:
 
夢人館・ヴォルプスヴェーデ (小柳玲子)

作品
 1 建築的要素と植物によるコンポジション (モノクロ)
 2 横たわる女(寝椅子の上の女) (モノクロ)
 3 ガラス球と布切れのある静物 
 4 白い皿と色のついた球体の静物
 5 雲 潅木 天窓のある山の風景 (モノクロ)
 6 グロッタ (モノクロ)
 7 石のある風景 (モノクロ)
 8 幻想風景の中のティリー・ヴィーサの肖像
 9 日々の責苦 
 10 ある風景(遠方)
 11 羊歯の風景 (モノクロ)
 12 木の風景 (モノクロ)
 13 風景 (モノクロ)
 14 「期待」の習作 (モノクロ)
 15 期待
 16 危険な願い
 17 風景 (モノクロ)
 18 マッチのある静物
 19 風景習作・ヴォルプスヴェーデ
 20 ヴォルプスヴェーデ風景
 21 礼拝堂のある風景
 22 魔法使いとシンボル
 23 風景画の前の自画像
 24 森の空き地
 25 自画像
 26 薔薇の王妃
 27 過ぎ去った日々に
 28 夜の時間 I 
 29 教会で
 30 別れ(橇で)
 31 親族の小枝
 32 角のある動物
 33 生長 I  (モノクロ)
 34 喪のささやかな祭礼(エゼキエル)
 35 芸人(役者) (モノクロ)
 36 神託(円柱) (モノクロ)
 37 胸像 
 38 絵の中の絵
 39 思い出(球体) (モノクロ)
 40 レンブラントへのオマージュ
 41 偶然の家族とともに
 42 神託
 43 嘆きの川辺で
 44 内部
 45 ガラス球とともに
 46 植物的生長
 47 エピクロス
 48 船長の家の裏
 49 素描(ホロフェルネスシリーズ) (モノクロ)
 50 素描(ポステホルツシリーズ) (モノクロ)
 51 水曜日
 52 花と血のかわりに
 53 記憶の状態(合い間) (モノクロ)
 54 白い鳩
 55 鳥の横顔 (モノクロ)
 56 死の人形たち
 57 永遠の霧の方へ
 58 孤独な願い
 59 鳥類学的肖像(鳥類学的記念碑)
 60 死の祭礼
 61 忘れられた人々
 62 霊魂の湿原
 63 孤独の喜び
 64 ヨサファの谷

リヒャルト・エルツェについての覚書 (Wieland Schmied/訳: 香川檀)
雲と地底の交情 洞窟の画家リヒャルト・エルツェ (星野勝成)

年譜
作品解題




◆本書より◆


「リヒャルト・エルツェについての覚書」(Wieland Schmied)より:
 
「彼はバウハウスで五年間を学んだが、どこか他の美術学校でも、あるいは学校など全然行かなくても同じようによく勉強することができただろう。彼は好んで旅をし――それもたぶん早々に居場所を変えるためだけなのだが――四年をパリで過ごし、ベッドと灯りしかないどこかの安下宿に暮らし、熱にうかされたように仕事をし、当時の彼を知っている友人たちが語るように、屋根裏で身をこごめて絵ばかり描いており、知己をもとめることもなく、土地の言葉すら覚えない。彼の絵はシュルレアリストの作品とともに展覧会に出され、ブルトン、ダリ、エリュアール、マックス・エルンストらの訪問を受けるが、愛想のない素振りで応じ、交友が深まることはない。それから突然またパリをあとにして各地を転々とし、(中略)第二次大戦直後のどさくさが彼をヴォルプスヴェーデに漂着させる。(中略)ここで彼は、一九四六年から六二年までの十六年間という、人生のうち中断をみなかった最長の期間を過ごすことになる。粗末なことこの上ない暮らしをし、土地のアウトサイダーであり続け、(中略)昔から人怖じするたちだったが、ここではすっかり人間嫌いになり、ほとんど誰もそばへ寄せつけず、彼の甘受するわずかの人たちが周囲をかためて外部を遮断しているのである。」
「およそドイツ人ほど、森が世界の象徴であり自己理解の鍵である民族はいない。それゆえ、他のいかなる民族の画家にもましてドイツの画家が、かくも忍耐強く精魂こめて森を描いてきたのも頷けるのであり、その伝統はデューラー、アルトドルファー、ヴォルフ・フーバーにはじまり、カスパー・ダヴィッド・フリードリヒを経て、クレーやマックス・エルンスト、そしてリヒャルト・エルツェへと至ることになる。」
「五〇〇年のあいだ連綿と続いてきたヨーロッパ風景画を、久しい以前からわたしたちは衰退の一途にあるものと思い込んでいたが、その歴史の果てに森は、リヒャルト・エルツェによって今また初期の頃のように不気味なもの、現前するものとなったのであり、威嚇的で、ほとんど足を踏み入れることができない険しさを取り戻している。」



「洞窟の画家リヒャルト・エルツェ」(星野勝成)より:

「エルツェと同時代のハンス・ベルメールは、豊かで権威的なナチストだった父への反撥もあり、事業を放棄して人形制作にふけりフランスへ亡命、レジスタンスに加わりながら身を守り戦後まで留まった。やはり同世代でドイツにあったエドガー・エンデは、第一次大戦後の革命期に保守派の将校に向かってはっきりと反対意見を表明した青年期を持つ。しかしエルツェに関して彼の政治や社会への意見を知る何らの言葉も行動も私は知らない。彼は、放浪者に近い不安定な生活をしてむきだしの皮膚で世界を感じ続け、終始その内向的な自分の資質を保ち続けた。
 エルツェはカフカの『城』を愛読し、モンテ・ヴェリタ(真理の山)を描いた素描《木と岩山と城壁の風景》(一九三〇年)があることでも確認できるように、南スイスのアスコーナに滞在し、遠くはマクデブルク美術・工芸学校での人智学との出会い、ワイマール以来ベルリン時代まで続く親交のあったイッテンによるマズダスナン(ゾロアスター教に立脚)の影響か、多分に神秘的な感覚をつのらせてシュルレアリスムに接近する。
 アスコーナはスイスとイタリアにまたがるマジョーレ湖畔にあり、自然療法、神秘思想、心理療法、左右の政治思想、芸術思想のたまり場であった。」



夢人館 エルツェ 02
 
「危険な願い Gefaehrlicher Wunsch」(1936年)
 

夢人館 エルツェ 07

「マッチのある静物 Stilleben mit dem streichholz」(1946年)


夢人館 エルツェ 09

「過ぎ去った日々に In vergangenen Tagen」(1949年)


夢人館 エルツェ 03

「親族の小枝 Verwandtschaftliche Zweige」(1951年)


夢人館 エルツェ 04

「ガラス球とともに Mit der Glaskugel」(1958年)


夢人館 エルツェ 05

「水曜日 Mittwoch」(1962年)


夢人館 エルツェ 06

「死の人形たち Todpuppen」(1965)


夢人館 エルツェ 08

「夢人館通信」より、エルツェ(右下)とその友人。1920年代初頭。












































































































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うまれたときからひとでなし
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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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