『萩原朔太郎全詩集』

「おれは異端だ
汝の眞實のためにも、異端であれ」

(萩原朔太郎 「異端信條」 より)


『萩原朔太郎全詩集』

筑摩書房 
昭和54年12月20日初版第1刷発行
xli 880p 口絵i 別丁図版20葉
A5判変型(21.5×17.5cm)
丸背クロス装上製本 
本体ビニールカバー 貼函 外函 
定価16,000円



本書「凡例」より:

「本書は、筑摩書房版『萩原朔太郎全集』(中略)に基づいて、新たに編集したものである。」
「本書では、『蝶を夢む』『定本靑猫』『宿命』については、既刊詩集からの再録作品は重複を避けて省略した。」
「七詩集の本文はそれぞれの初版を底本とし、「拾遺詩集」は雜誌・新聞初出形を、「習作集」「未發表詩篇」は自筆原稿を底本とした。ただし、正字體・正假名遣に統一した。」



萩原朔太郎全詩集01


外函帯文:

「虚妄の空間を照射する永劫の詩星・萩原朔太郎の初めての全詩集。筑摩書房版『萩原朔太郎全集』全十五巻完結の後をうけて、新たな編集で世におくる愛蔵版。」


外函帯背:

「定評ある
筑摩書房
の全詩集」



萩原朔太郎全詩集02


目次:

凡例

月に吠える
青猫
蝶を夢む
純情小曲集
氷島
定本 青猫
宿命
拾遺詩篇
習作集 (愛憐詩篇ノオト)
未発表詩篇

解題 (那珂太郎)
年譜 (伊藤信吉 編)



萩原朔太郎全詩集03



◆本書より◆


「拾遺詩篇」より:


「螢狩」:

「愛妹(いもうと)のえりくびから一疋、
瘋癲病院の窓から一疋、
血(けち)えんのつかあなから一疋、
いえす(引用者注: 「いえす」に傍点)の素足から一疋、
魚の背筋から一疋、
殺人者の心臓から一疋、
おれの磨いた手から一疋、
遠い夜の世界で螢を一疋。」



「夜景」:

「高い屋根の上で猫が寢てゐる
猫の尻尾から月が顏を出し
月が靑白い眼鏡をかけて見てゐる
だが泥棒はそれを知らないから
近所の家根へひよつこりとび出し
なにかまつくろの衣裝をきこんで
煙突の窓から忍びこまうとするところ。」



「三人目の患者」:

「三人目の患者は、
いかにもつかれきつた風をして、
べろりと舌をたらした、
お醫者が小鼻をとんがらして、
『氣分はどうです』
『よろしい』
『食物は』
『おいしい』
『それから……』
『それからすべてよろしい』
そして患者は椅子からとびあがつた、
みろ、歪んだ脊髓のへんから、
ひものやうにぶらさがつた、
なめくじの神經だの、くさつたくらげ(引用者注: 「くらげ」に傍点)の手くびだの……。
そいつは眞赤(まつか)の殺人者(ひとごろし)だ。」



「未發表詩篇」より:


「家」:

「まつ白の肉皿が
食卓のへりをめぐつて居る
しづかに
物哀しく
なんの音もなく
光る薄手の皿が
食卓のへりをめぐつて居る
さて窓の外では
ちらちら雪のふつてる光景ですが
それもしづかに
まるで音もなく
どこかの廣間にかくれて居て
白いたましひが祈つて居る」



「先祖」:

「先祖の幽靈は、ながい尻尾を曳きずつて通る。」


「金庫破り」:

「怖るべきふくめんのひと
ラヂウムを使用するひと
犬のやうにしのんできたひと
影のやうに消えてゆくひと
このひと金庫を破壊せり」



「あいんざあむ」:

「じめじめした土壌の中から、
ぽつくり土をもちあげて、
白い菌のるゐが、
出る、
出る、
出る、
この出る菌のあたまが、
まつくらの林の中で、
ほんのり光る。

すこしはなれたところから、
しつとり濡れた顏が、
ぼんやりとみつめて居た。」



萩原朔太郎全詩集04
























































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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