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『図説 百鬼夜行絵巻を読む』 (ふくろうの本)

「これらの画家たちは、もしかしたら、中心に向って整序される一神教的な秩序をきらい、かえって周辺に向って拡散される汎神論的な無秩序を愛したのかもしれない。それは自然界に遍在して、いろいろな物体のなかに入ったり出たりする霊魂、(中略)小さな庶物の精霊にふさわしい世界だった。このような観点から見るならば、百鬼夜行とは、精霊的な自然の無秩序の別名であるかもしれないのだ。自然そのものが、百鬼夜行と言えるかもしれないのだ。」
(澁澤龍彦 「付喪神」 より)


田中貴子/花田清輝/澁澤龍彦/小松和彦
『図説 
百鬼夜行絵巻をよむ』

ふくろうの本


河出書房新社 
1999年6月15日 初版印刷
1999年6月25日 初版発行
111p 
21.5×17cm 並装 カバー 
定価1,800円(税別)
装幀: 天野誠
本文デザイン: 吉岡和子



本書扉文より:

「恐ろしげで奇々怪々な風情の妖怪たちが、
いずこからともなくぞろぞろと現れて行列をなし、
闇の京都を徘徊している……。
この怪異現象を平安時代は「百鬼夜行」と呼んだ。
一方、室町時代に「百鬼夜行絵巻」という妖怪画のジャンルが流行し、
やがてそれは江戸時代に隆盛をきわめたお化け絵の源流となった。
だが、平安時代と室町時代以降では「百鬼夜行」の性格が異なる。
奇怪な「百鬼夜行絵巻」は、なぜ生まれ、何をテーマとしていたのか。
本書は、この日本の「闇の文化史」の謎を解読する試みである。
論考として、早くからこのジャンルに注目した
花田清輝氏、澁澤龍彦氏のエッセイ、さらに民俗学の視点から
これらを受けて書かれた小松和彦氏の論文を収録し、
巻頭に「百鬼夜行図」研究に新地平を拓いた国文学者
田中貴子氏に研究の現状を要約・解説していただいた。
図版は、「百鬼夜行絵巻」の名品、大徳寺の真珠庵本をはじめ、
新発見を含む諸本、あまり紹介されることのなかった
「付喪神(つくもがみ)絵巻」(および現代語訳「付喪神記」田中貴子氏新訳)も収録し、
また江戸時代の鳥山石燕や河鍋暁斎などの作品を加えて
「百鬼夜行図」の全体像が分かるように構成した。」



花田清輝・澁澤龍彦・小松和彦による文章は既刊本からの再録です。


百鬼夜行絵巻を読む 01



帯文:
 
「奇妙な
妖怪たちが
闇の京都を
行列をなし
徘徊する…。
 
日本のお化け絵の
源流「百鬼夜行絵巻」
はなぜ生まれ、
何を描いたのか。
異界の達人たちが
日本の「闇の文化史」
の謎を解読する。
 
妖怪の宝庫「百鬼夜行図」
多数収録。
お化けの饗宴!!」



目次:
 
絵巻コレクション① 『百鬼夜行絵巻』(真珠庵本)
絵巻コレクション② 『百鬼夜行絵巻』(京都市立芸術大学蔵)
前説『百鬼夜行絵巻』はなおも語る (田中貴子)
現代語訳『付喪神記』 (田中貴子 訳)
画人伝(抄) (花田清輝)
絵巻コレクション③ 『百鬼夜行絵巻』(東京国立博物館蔵・模本)
絵巻コレクション④ 『百鬼夜行絵巻』(大阪市立美術館蔵)
付喪神 (澁澤龍彦)
器物の妖怪 付喪神をめぐって (小松和彦)
「百鬼夜行図」コレクション 河鍋暁斎『暁斎百鬼画談』より
河鍋暁斎 百鬼夜行図 (澁澤龍彦)




◆本書より◆


「現代語訳『付喪神記』」より:

「こうして、報復のためにみなの意見を聞くと、古文書の古文先生がこう言った。
 「天地創造のころは、人間も物も草木も形がなかった。しかし、陰陽の気によって仮に万物が生まれたのだ。我等がもし陰陽の気にあえば、必ずただの「物」から魂のある存在になれるはずである。中国の故事でも、陰陽によって変化した物の例もあることだ。だから、今度の節分を待て。節分とは、陰陽が反転して物が形を改める時である。我等もその時造化の手に身をゆだねればきっと化け物になれるだろう」
 古道具たちは、おのおの古文先生の言ったことを古紙の端に書き付けて帰っていった。」
「さて、既に節分の夜となったので、古文先生の教えに従い、古道具たちは身を虚にして造化の神に祈った。彼等は既に百年を経た年の功があり、変化する徳を備えていたので、忽ちに化け物となりおおせた。ある者は人間の男女・老少の姿となり、またある者は魑魅悪鬼の体をなし、あるいは狐狼などの獣の形を表す。いろいろな化け物の恐ろしい有様は、言うにも及ばないほどである。
 化け物たちは住むべき所を決めようとしたが、あまりに人里遠くでは食物を調達する手だてがないので、京の北西にある船岡山の後ろ、長坂の奥を本拠地と定めた。そして、常日頃は京・白川へ出ては捨てられた報復をし、人間は言うに及ばず牛馬家畜までもを取って食べたので、京の人々はみな悲しむこと限りなかった。けれども、目に見えない化け物なので、退治しようにも手だてがなく、ひとえに神仏に祈ることしか出来なかった。
 化け物たちは肉の城を築き、血の泉を湛えて酒盛りをし、遊び狂った。そして、人間の楽しみや天上の快楽なんぞ羨ましくもない、などと豪語しあった。
 ある時、化け物のなかにこんなことを言う者があった。
 「そもそもわが国は神国であって、みな神道を信じ奉っている。だから、我等も造化の神をあがめ奉らないのは心ないことだ。今よりこの造化の神を氏神と定めて祭礼を催せば、我等の運命久しく保たれ、子孫繁栄することは疑いない」
 そこで、この山の奥に社を建て、その名を「変化大明神」と号し奉ることになった。立烏帽子の化け物を神主とし、八乙女、神楽男などを決めて、朝夕神をまつった。他の社の例にならって祭礼を行うべしと、御輿をあつらえ、四月初めの五日の真夜中、一条通りを東に向かって祭礼行列は進んで行った。」




百鬼夜行絵巻を読む 02


『百鬼夜行絵巻』(真珠庵本)より。



百鬼夜行絵巻を読む 03


『百鬼夜行絵巻』(京都市立芸術大学蔵)より。



百鬼夜行絵巻を読む 04



百鬼夜行絵巻を読む 05



百鬼夜行絵巻・付喪神絵巻リンク:

国際日本文化研究センター
百鬼夜行絵巻 前半
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/esugata/hyakki1.html
百鬼夜行絵巻 後半
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion/dbase/esugata/hyakki2.html
東京大学附属図書館
百鬼夜行図
http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/hyakki/
東北大学狩野文庫
百鬼夜行で検索
http://dbr.library.tohoku.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000002kano
京都大学附属図書館
付喪神絵巻 
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/tsuroll/tsukumoindex.html







こちらもご参照ください:

小松和彦 『百鬼夜行絵巻の謎』 (集英社新書ヴィジュアル版)
鳥山石燕 『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』 (角川ソフィア文庫)






































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