ガートルード・スタイン 『アリス・B・トクラスの自伝』 (金関寿夫 訳/筑摩叢書)

「結局、かの女がいつも主張しているように、芸術家なら誰だって批評なんてものは必要としないのです。ほんとうにほしいのは理解だけ。もしその人が批評を求めるなら、その人は芸術家とはいえないのです。」
(ガートルード・スタイン 『アリス・B・トクラスの自伝』 より)


ガートルード・スタイン 
『アリス・B・トクラスの自伝』

わたしがパリで会った天才たち
金関寿夫 訳
筑摩叢書 272 

筑摩書房
1971年11月25日 初版第1刷発行
1981年4月20日 叢書版第1刷発行
389p 口絵(モノクロ)6p 
四六判 並装 カバー 
定価1,500円
装幀: 原弘

Gertrude Stein : The Autobiography of Alice B. Toklas, 1933



訳者による「あとがき」より:

「スタインはこれを一九三二年の秋、ただの一か月半で書き上げたらしい。スタインがこれを自分の「自伝」にしないで、わざとアリス・B・トクラスという、一九〇五年から終生彼女と同居して、忠実な友達兼秘書の役を勤めた女性の「自伝」にしたところが、いかにもスタインらしいやり方である。」
「この本は、真中の「大戦」をはさんで、前半ではおもに、彼女の住居フルール街二十七番地を中心に、当時のパリ美術界の有様が生きいきと描かれ、後半では、彼女の「サロン」に集ってくるおもに多くの文学者たちの肖像が、これまた生きいきと描写されている。」



スタイン トクラスの自伝 01

カバーは二重になっていて、この写真入りカバーを外すと、その下にいつもの筑摩叢書のカバーがかけてあります。


目次:

一 わたしがパリに来る前のこと
二 わたしのパリ到着
三 パリのガートルード・スタイン 一九〇三年―一九〇七年
四 パリへ来る前のガートルード・スタイン
五 一九〇七年―一九一四年
六 大戦
七 戦後 一九一九年―一九三一年

訳注
あとがき
文献目録



スタイン トクラスの自伝 02



◆本書より◆


「わたしのパリ到着」より:

「ガートルード・スタインはこわれ易いものに対してとくに深い愛着をもっていました。そしてかの女はこわれないものばかり集めたがる収集家が大嫌いなのです。」


「一九〇七年―一九一四年」より:

「ガートルード・スタインは、それがかの女の一等大切にしているものであっても、そもそもものをこわすことについてはずいぶん寛大なひとでした。(中略)こわれやすいものがかの女は大好きなのです。安物でも高い芸術品でも、八百屋さんの瀬戸物のにわとり、あるいは市場で買った鳩。(中略)かの女はそういう品物全部に夢中なのです。そしてそれらのことを全部憶えています。けれどもそれらがいずれこわれることをかの女は知っています。そしてかの女がいうことには、こわれても本と同じでいつもまた新しいのが出て来るわ。(中略)かの女がいうには、自分がいま持っているものも好きだけれど、新しいものを手に入れる冒険も大好きですと。これは若い絵かきさんたちについて、すべてのものについて、かの女がいっていることと同じことです。いったんみんながその優秀性を認めてしまえば、もうそれで冒険はおしまいですと。そしてピカソが溜息とともにこれにつけ加えます、たとえみんながその優秀性を認めたあとでも、ほんの少数の人たちがその優秀性を認めていたときに較べて、それをほんとうに好きな人間が別に増えるわけじゃないんだと。」

「バラはバラでありバラでありバラであり」についていうと、じつはあの言葉をたまたまガートルード・スタインの原稿の中に見つけて、それを便箋や、テーブル掛けやナプキン、そしてかの女が使うのを許すあらゆるものの上に一種の記章として採用することを主張したのはこのわたしだったのです。」



「大戦」より:

「エリック・サティーと知り合うことはたいへんなよろこびでした。かれはノルマンディー出身で、その土地をたいそう好いていました。(中略)いつだったか戦後のこと、サティーとマリー・ローランサンがうちへ昼食に来ていたとき、お互同士がノルマン人だというので、傍で見ていて気持がいいほど夢中になって話し合っていたことがありましたっけ。エリック・サティーは食物(たべもの)と葡萄酒が大好きで、その両方についての知識をどっさり持っていました。」
「エリック・サティーがわが家に来た合計六回のうち、かれが音楽の話をしたのはただの一回きりでした。」
「かれは魅力に溢れる話――たいていノルマンディーの話でしたが――をしました。ときにはたいそう辛辣にもなるいたずらっぽい機智の持主でした。」





































































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本