『シュルレアリスム読本 2 シュルレアリスムの展開』

「貝殻の内部が井戸のやうだと考へてゐると急に美しい雷鳴がしだした。
   ★
水を潜つてゐる青葉は人間の魂そつくりなのに驚く。
   ★
月の中にとつとと掻き昇つて行く人間がゐる。」

(瀧口修造 「断章」 より)


『シュルレアリスム読本 2 
シュルレアリスムの展開』
 

思潮社 1981年5月1日発行
282p 
A5判 並装
定価980円
表紙・本文レイアウト: 清原悦志



「シュルレアリスム読本」全四冊。
本文中図版(モノクロ)多数。


シュルレアリスムの展開1


目次:

★討議 
佐藤朔/入沢康夫/鍵谷幸信 「超現実主義と詩的空間」

★論考
森本和夫 「未完の思想・限り無き運動」
鶴岡善久 「瀧口修造の死・以後」
菅谷規矩雄 「詩が、文学の外へ」
東野芳明 「デュシャン展仕込み旅行記」
中村義一 「日本超現実主義絵画の論理と病理」
小島輝正 「「詩と詩論」における翻訳・その一、二例」
岩成達也 「年表のシュールレアリスム」
海野弘 「日本の一九二、三〇年代アヴァンギャルド詩の周辺」
鈴木志郎康 「シュルレアリスムとの私の交際」
関根弘 「「芸術前衛」について」
藤井貞和 「詩論のシュルレアリスム」
池田龍雄 「メルヴィーユの風化」
谷川晃一 「シュルレアリスムその風化の現在」
利光哲夫 「日本のシュルレアリスム劇」
中野嘉一 「「詩と詩論」と「リアン」の運動」

★資料
瀧口修造未刊行詩篇 (編: 鶴岡善久)
 雨 
 月 
 六月の日記から 
 冬 
 冬眠 
 断章 
 PIRATERIE 1930 
 受話器の類焼 
 想像と火 
 不思議な時間のやうに 
 薔薇の肋骨 
 午前の地図 
 羊飼ひの時間 
 家 
 無題 
 詩人について 
 リスト作「魚」に寄せて 
 詩とペン 
 懐中詩集
[詩アンソロジー]
 西脇順三郎
  馥郁タル火夫
  ヴィーナスの宵祭
 上田敏雄
  Paresse Idéale
  La Paresse Lamentable
 春山行夫
  花ハ花
 冨士原清一
  成立
  襤褸
 楠田一郎
  黒い歌I
[評論]
 上田敏雄 「私の超現実主義」
 北園克衛 「超現実主義論」
 神原泰 「超現実主義の没落」
 春山行夫 「反動的超現実主義者の没落批判」
[翻訳]
 ブルトン=エリュアール 「ポエジイに関するノオト」 訳: 佐藤朔)
 ルイ・アラゴン 「スタイル論」 (訳: 瀧口修造)
 アンドレ・ブルトン 「超現実主義と絵画」 (訳: 瀧口修造)
[研究]
 「「シュウルレアリスム研究会」第一回報告」 (大岡信/東野芳明/江原順/飯島耕一/菅野昭正/村松剛)
[年表]
 日本・海外 シュルレアリスム年表 (編: 鶴岡善久)



シュルレアリスムの展開3



◆本書より◆


「超現実主義と詩的空間」より:

佐藤 (中略)だけど瀧口の一面を語ると、彼は絶対僕らのように大学教授にはなりません。この強さは相当なものですよ。一時期収入がなくて貧乏暮ししてヒイヒイしてたんですよ。僕はたのみに行ったんだ。戦後慶応に詩学という講座が出来たから、何でもいいから勝手なことを喋れと言ったんですよ。それがいやなら好きな詩でも読んでもいい、とね。瀧口は人を教えるとか大学教授だとかはとんでもないと思っていたんですね。ところがわれわれの方はとんでもないなんて思ってない(笑)。
入沢 そこで瀧口さんのテストにわれわれは落第するわけですね。
鍵谷 そうなんですよ。
佐藤 上田敏雄だって妥協して英語の先生になったんですよね。まあ、何を教えているかわからないけれども(笑)。大学の先生なんて絶対いやだと瀧口は言ったね。想像外じゃないの。こんなことを言ったら怒られるけど、日本の現代詩人はみんな大学の教師じゃないの(笑)。どういうことだろう、これは。
入沢 そういう瀧口さんの意固地さというか潔さには驚かされますね。」



シュルレアリスムの展開5


「超現実主義と詩的空間」より:

佐藤 (中略)それともうひとつ言っておきたいのは、西脇さんの講義は非常に学問的で、緻密で、ムダ話や笑わすことなんかしない。模範的な教師としての講義ですよね。詩的発想とか詩的衝動とかエスプリのある話なんかしない。几帳面な講義でした。
鍵谷 悪い意味じゃなくて、あの先生の性格からいって常に憂鬱そうですね。
佐藤 ああ、それは常に憂鬱なんで、それは詩にあらわれてる通りで、『旅人かへらず』なんて全部彼そのものですよ。
入沢 とすると、授業の内容や態度からこの人は詩人なのだ、あるいは新しい詩について詳しい人だ、という感じではなかったのですね。とすると、西脇さんが雑誌などにお書きになるものから、皆さんは西脇さんの存在に気が付かれたんでしょうか。今度帰ってきた西脇さんというのはすごいぞっていうことになるきっかけは何だったのですか。
佐藤 うん、だから今言った「プロファヌス」とか「失楽園」とか「三田文学」に書き出した文章が本当にショッキングだったということで、こういう物の考え方が存在するのか、というぐらいのショッキングな印象を受けましたね。そのくせ白十字とか西脇さんの家で五、六人集って喋るでしょ、そんなに多弁じゃないんですよね、西脇さんは。興がのってくるとモノローグみたいにズルズル話をしますけど、けっしてこっちにサービスするとか、やさしく話すとかそういう態度じゃないんですよね。変わった本をポンポンポンと出してあまりしゃべらない。
鍵谷 勝手にやれっていう……。
佐藤 うん、ちょっと刺激してやるという感じでしたね。」



シュルレアリスム読本





































































































































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Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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