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ペソアの手紙 2

前回、ペソアとその恋人オフェリアとの文通に、ペソアの別人格アルヴァロ・デ・カンポスが割って入る、ということを書いたので、その実例を見ておきたいと思います。
いったん交際が途絶えて、ほぼ十年のブランクののち、再び手紙のやりとりをするようになった時期のものです。例によってポルトガル語は読めないので英訳からの重訳・意訳です。


「1929年9月25日
親愛なるオフェリア・ケイロス嬢。

 わが親愛なる無二の友、フェルナンド・ペソアなる惨めにして哀れむべき人物から、貴女に以下のことを伝えるよう頼まれました。というのも、あの人物は目下精神状態最悪にして、干しえんどう豆(従順と修練の注目すべきお手本)に対してさえ、何一つ伝えることができないありさまなのであります。
すなわち、

ここに貴女が:
(1)体重を減らすこと
(2)少食で済ませること
(3)眠らないこと
(4)発熱すること
(5)前述の人物のことを思うこと
を禁止する。

 あの役立たず野郎(訳注:ペソアのことです)の誠実なる親友として、代筆を(いやいやながら)請け負うことになった私から、ひとこと忠告しておきますが、言及するさえ汚らわしいあの人物(訳注:ペソアのことです)に対して、貴女が抱くに至った心象など、トイレにでも流してしまえばいいのです。この世に正義というものがあるならば、あの人外野郎(pseudohuman entity 人間もどき)こそトイレに流されて当然なのですが、それは物理的に不可能ですから。
以上、謹んで申し上げます。

アルヴァロ・デ・カンポス(海軍技師)」


Pessoa1.jpg


やがてペソアはまた手紙が書けなくなってしまいますが、それでも互いの誕生日に電報を送りあうことは続けられたようです。オフェリアはその後結婚して1991年に逝去、没後「オフェリア・ケイロスによるフェルナンド・ペソア宛ラブレター集(Cartas de Amor de Ofélia a Fernando Pessoa)」という本が出版されています。















































































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ひとでなしの猫

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なぜならわたしはねこだから
 
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分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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