『夜想 9 特集: 暗黒舞踏』

「どうしようもない過失を背負って生きている
ありがとう ごめんなさい」

(大野一雄 「私のお母さん」 より)


『夜想 9 
特集: 暗黒舞踏』

Yaso #9 - Dance Review 1920-80 Japan

ペヨトル工房 
1983年7月20日 発行
224p 
A5判 並装 
定価1,200円
編集発行人: 今野裕一
AD: ミルキィ・イソベ



夜想 暗黒舞踏 01



夜想 暗黒舞踏 02


「くらやみからひかり」


目次:

プロローグ
エピローグ

石井漠
 私的評伝石井漠 (長谷川六)
 石井漠と舞踊詩 (石井漠海外公演評)
ラ・アルヘンチーナ
高田雅夫・せい子
崔承喜
イサドラ・ダンカン
アンナ・パヴロヴァ
ノイエタンツ
クロイツベルク
 
舞踏年譜 1920―53
舞踏年譜 1956―83

大野一雄
 インタヴュウ
 カメラ・オブスキュラ
 資料
土方巽
 「伸びる」と「屈む」と (郡司正勝)
 闇の命脈 (深瀬昌久)
 暗黒舞踏への鎮魂歌
 舞姫・芦川羊子
笠井叡
 笠井叡・新潟 (小川隆之)
 見えない天使
田中泯
 インタヴュウ
 地を這う前衛 (木幡和枝)
 開放された肉体と感性――パフォーマンスの現在
山海塾
 インタヴュウ
中西夏之 《舞踏の足の裏》

舞踏アンケート



夜想 暗黒舞踏 03


ラ・アルヘンチーナ。



◆本書より◆


大野一雄インタヴュウより:

「それからおぜんが出てきた。かつて一九八〇年ヨーロッパでやった時に、「おぜんまたは胎児の夢」という作品を一時間半踊ったんだけど、そういうことがあっておぜんを使った。
 子供が電車にひかれた。
 ぱっと電気が消えると、まもなくふっとつくと首をおぜんに載せて……つんのめるようにして……赤い衣裳を着て……「六段」の演奏が流れる……そして蛾の踊りになる……何故蛾のお吸いものを飲まなくてはならないかということについては理解のないままに先だってやった。ただ蛾は宇宙的な文様があり、けだものの様な虎の様な姿をしているから……異常なお吸いものということで飲んだんだけど何故、異常なお吸いものを母親が飲まなくちゃならなかったかということになると、その時は解らなかった。
 十人の子供を育てるためには、まともな飲みものでは育てられない。宇宙のエッセンスをまず母親が吸収しておっぱいとして与えるという関係でなくては……自分の芸術心を育てなくてはならない……だから蛾のお吸いものを宇宙のエッセンスとして飲む。そうして育んだ子供が電車にひかれた。もう一人横浜で死んだ。母親の気持と私の気持は違うかもしれないが同じように痛むわけですよ。母親が痛むときに私も無意識に痛むのです。
 函館市に初めて電車が通ったその日に、花電車にひかれたんです。私はそこに居なかったけれど見ているわけです。女中が危ないと叫んでもどってくるところをひかれたんです。
 女中さんが走ってもどってきて、おくさんと言った時、母親はぴしっとおきているんです。広い台所で食器を整理しながら、母親は仏さんの行列を見ておった。それが同時に起っている。電車の事件がきっかけで母親は信仰の世界に入っていった。――そんな様なことを思いながら、おぜんを想う時……母親にだいじにされたこと、生きるための最大の儀式としてのおぜん……が浮かびあがってくる。
 そう想い続けるなかで踊りが変貌してくる。衣裳にしても宇宙をはおるものだと思うようになってきた。」

「母親の遺言として踊ったカレイのダンスもね、――平になって泳いで、ぱっと大地をもちあげるようにする……これは母親が死んだ時に体から湯気がもうもうと上がりカレイや蝶が舞いあがったのと同じような踊りだけれども――何処でやったのかと後になって思う。確かにそれは劇場でやったんだけれど、私にとって踊りの場処は、母親の胎内でなければならない。それぞれの人も生きていくなかで、自分の踊る場処を設定しなければならない。私にとってはそれが母親の胎内なのです。」

「人形というのはもともと「死の天使」なのかもしれない。(中略)飾り場処のない人形……死の天使……死というものは人間が生きる上できわめて大切なものです。最期に死が来たというものではなく、常に生と死が一緒になっている。死は生きている上で大事に、大事にしなくてはならないものだ。大事にされなくてはならないものは、場処もはっきりと与えられないのではないか。大事なものほどはじのほうで、ほっといきづいている。そういうことを毎日考えながらヨーロッパを踊ってきました。」

「踊りは最終的には幽霊でなくてはならない。魂の形のような、びっしりつまった存在感、それととっくまなくてはならない。」

「例えばとまどってどうしても解らなくなって立ち尽す……叫びのようなもの……それが踊りにはつきまとう。立ち尽すというようなものが踊りにとって重要なことがらで……相手をひとりぶつけるという可能性は、立ち尽すというようなものの中からしか出てこない。すすすす――とするものからは出てこない。立ち尽すということがあって、共感することの可能性がでてくる。」

「むしろ研究生がとまどいながらやっているほうがいい。集団的にまとまって見せるなんていうことを次々にやっても全然興味ないですね。」



夜想 暗黒舞踏 04


大野一雄。


夜想 暗黒舞踏 05


笠井叡。


























































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本