『土方巽全集Ⅰ』 (普及版 全二冊)

「ところがわたしを笑う人が居るのよ。えぇ。だからそれは死骸だって、ねえッ、それも家のなかでわたしのことを笑う奴なんかみんな死骸だってね、わたしそういってやったの。えぇ。なんていって、わたしなんか、なに、生れたときからね、ぶっこわれて生れて来てるんだからね。ええ。そんなことちゃんと判ってるよ。いわれなくったって判ってるんね。」
(土方巽 「慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる」 より)


『土方巽全集Ⅰ』 
[普及版]

編集委員: 種村季弘・鶴岡善久・元藤燁子

1998年1月21日 初版発行
2005年8月20日 普及版初版印刷
2005年8月30日 普及版初版発行
404p 口絵i  
A5判 丸背紙装上製本 カバー 
定価2,800円+税
装画: 中西夏之
装丁: 渋川育由



函入りの土方巽全集を買おうとおもってうっかり忘れていたら値段の安い普及版が出ているのを神保町でみかけたので夢うつつのうちに一割引で購入しましたが、それももう十年前であります。まるで昨日買ってきたかのようによむであります。


土方巽全集Ⅰ 01


帯文:

「舞踏のすべてが
ここにある。

世紀を越えて今再びよみがえる舞踏の創始者=土方巽の全著作を網羅した全集、
待望の普及決定版第1巻。自伝的幻想譚の傑作「病める舞姫」のほか、
奇想に満ちあふれた評論集「美貌の青空」などを収録!」



帯背:

「今よみがえる
舞踏神の全貌」



土方巽全集


帯裏:

「くるりと去年のはなれ技
あちらこちらと生きのびて
何も喰わずに生きのびて
いまぱっくりと鯉の口
暗くてはっきりわからぬが
詳しくはっきりわからぬが
ぼけたサナギの一生を
誓願ここにささげたり
何千年、何万年の生き残り
眠りをしぼってこねあげて
そこに朝日もしのばせて
尿のにごりで鳥描いた
いま描いた鳥は染まるだけ
いまその鳥は染まるだけ

「病める舞姫」より」



土方巽全集Ⅰ 02


目次:

病める舞姫 (白水社 1983年3月10日)

美貌の青空 (筑摩書房 1987年1月21日)
 Ⅰ 
  犬の静脈に嫉妬することから
 Ⅱ 
  静かなヒト
  中の素材/素材
  暗黒舞踊
  刑務所へ
  他人の作品
  演劇のゲーム性
  アジアの空と舞踏体験
  猫の死骸よりも美しいものがある
  肉体に眺められた肉体学
  人を泣かせるようなからだの入れ換えが、私達の先祖から伝わっている。
  遊びのレトリック
  静かな家
  包まれている病芯
  匂いの抜けた花から
  甘えたがっていた
 Ⅲ 
  アルトーのスリッパ
  貧者の夏――西脇順三郎
  線が線に似てくるとき――瀧口修造
  言葉の輝く卵―吉岡実
  内蔵の人――三好豊一郎
  剛直な哀愁詩人――田村隆一
  闇の中の電流――澁澤龍彦
  結晶好きな赤子の顔――澁澤龍彦
  突っ立ってる人――加藤郁乎
  細江英公と私
  祝杯――池田満寿夫
  いろいろな顔がくるぶしの住処にかくれている――唐十郎
  彼女の髪の空洞――篠原佳尾
  原さんの影像展覧会――原栄三郎
  夢の果実――金井美恵子
  助けてもらった絵――田中岑
  生まれてくる人形――土井典
  均衡の一瞬
 Ⅳ
  鼻血――DANCE AVANT-GARDE
  広告――元藤燁子
  ブルース――藤井邦彦
  森田真弘の作品
  剥製の後頭部を持つ舞踏家に寄せる――笠井叡
  ムッシュウ・オイカワと私――及川広信
  天才論――石井満隆
  神聖な柳腰――笠井叡
  アスベスト館の妖精――芦川羊子
  片原饅頭をメサッと割った時――高井富子
  親愛なるシビレットC――大野一雄
  爪の孤独――大野慶人
  種無桃のマイム役者――ピエール・ビラン
  舞踏家の婚礼によせて――大野一雄
  天龍製機の足踏み脱穀機にまたがって――玉野黄市
  暗黒舞踏の登場感覚――芦川羊子
  北方舞踏派に七面鳥を贈る――ビショップ山田
  木乃伊の舞踏――室伏鴻
  同志の舞踏――中嶋夏
  異形の変容――白虎社
  世界一幸福な男――Butoh Festival '85 

慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる (書肆山田 1992年1月21日)

解題 (鶴岡善久)
『土方巽全集』 あとがき (種村季弘)



土方巽全集Ⅰ 03

「稽古場にて」 (撮影: 吉野章郎) 



◆本書より◆


「慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる」より:

「お前何処行くんだと。何処行くったってね、ま、町内会じゃあるめいしね、塀板によっかかるんじゃあないよ。ねえ。おいシャケ缶持って来い。なんていってね。いま折詰って、折詰なんか俺、最近食べません。子供の時よく食べましたよ。ねぇ。くしゃくしゃのハイライト? 何だって? そんなもの。(中略)そんなこといってあんた働かないの? 働かないの。ええ、働いたって働かなくったってねぇ、そんなものなんかねぇ、あるわけがないんだから。ないんだからね、絶対に。あるわけがないですよ。ないったら、ないんですよ。ええ、うん。綿(わた)だとか、くもの巣、なに云ってんだい。電球だい。そんなものないない。まァないもなぁないよ。ないったらないんだから。でも、こんな夜中にお前どこへ行ってきたんだいって、そんなものもないよ。みんななくなったんだよ。」

「だって夏じゃないか。夏が来て坐ってるんじゃないか、おれのそばで、ね。」












































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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