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ピエエル・ルイス 『ビリチスの歌』 鈴木信太郎 訳 (講談社文芸文庫)

「墓柩をひらくと、ビリチスは二十四世紀以前に、敬虔な手によつて整へられたままの状態で、あらはれた。」
「骸骨は雪の枝のやうに白かつた。しかし、まことに軽く、まことにもろく、人の手が触れるや否や、塵となつてくだけ散つた。」

(ピエエル・ルイス 「ビリチス伝」 より)


ピエエル・ルイス 
『ビリチスの歌』 
鈴木信太郎 訳

現代日本の翻訳 
講談社文芸文庫 す A2

講談社
1994年6月10日 第1刷発行
365p 
文庫判 並装 カバー 
定価1,100円(本体1.068円)
デザイン: 菊地信義



「本書の「本文」は、一九五四年四月刊、白水社版『ビリチスの歌』を底本とし、「後記」は一九五六年五月刊、新潮文庫版『ビリチスの歌』に拠った。」


Pierre Louÿs: Les Chansons de Bilitis, 1895
新字・旧かな。
本文は深緑色というか、藍鉄色というか、高麗納戸というか、そういう感じの色で印刷されています。


ルイス ビリチスの歌 01


カバー裏文:

「フランス世紀末の象徴派詩人ピエエル・ルイスが、
紀元前のギリシャに女流詩人ビリチスを想定して、
その愛怨の生を艶麗に歌わしめた長篇詩『ビリチスの歌』。
絢爛たる才に恵まれた早熟の詩人ルイスが二十四歳の時、
古代ギリシャ語からの翻訳といつわって発表した
したたるような官能と華麗な詩篇の鈴木信太郎による
名訳。ファスケル版挿画一六〇点を入れて贈る。」



目次:

ビリチス伝
第一部 パンフィリイの牧歌
第二部 ミチレーヌの悲歌
第三部 キプル島の短詩
ビリチスの墓

参考文献
 ビリチスの歌 目次
 後記 (鈴木信太郎)

解説 「ウェヌス的優美と逸楽」 (渋沢孝輔)
作家案内――鈴木信太郎/ピエエル・ルイス (鈴木道彦)
著書目録――鈴木信太郎 (作成: 鈴木道彦)
ピエエル・ルイス翻訳書目 (作成: 編集部)



ルイス ビリチスの歌 02


ルイス ビリチスの歌 03


ルイス ビリチスの歌 04



◆本書より◆


「ビリチス伝」より:

「ハイム氏が、土のつまつた狭い井戸から、降りてゆくと、その底に於いて壁塗りされた扉につき当り、これを打毀さねばならなかつた。広々とした地下の墓所は、石灰石の甃石(しきいし)を敷きつめ、その四壁は、黒色角閃石の石板で蔽はれ、石の表面には、以下に読まれる歌謡のすべてが原始的な花文字で刻まれていた。三つの碑銘だけは別に、石棺の面(おもて)を飾つてゐたのである。」


「雨」:

「細(こま)かな雨は やはらかに 沈黙(しじま)のなかに、ありとあるものを濡らした。まだ すこし降ってゐる。木の下蔭を出てゆかう。鞜(くつ)を汚さないやうに 裸足(はだし)になつて。

 春の雨は 気持がよい。木の枝に 今を盛りの花が 濡れ、高い薫に うつとりとする。樹の皮のしつとりとした柔肌(やははだ)が 太陽に輝いてゐる。

 ああ、地面にも 沢山の花。落ちた花々、可哀さうに。掃きよせたり、泥まみれにしてはならない。蜜蜂にとって置かう。

 甲虫(かぶとむし)と蛞蝓(なめくぢ)が 水溜りを縫ひ のろのろと道を横切る。その上に妾(わたし)は足を下(おろ)さない。伸(の)びをしながら 瞬(またた)きをする 金の蜥蜴(とかげ)を おびやかさうとも思はない。」



























































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

すきなことば: 「だれもいない」「ギブアウェイ」「ウポポイ」「隠密」
きらいなことば: 「人と人とのつながり」「キャリアアップ」「ほぼほぼ」「三密」

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。
歴史における自閉症の役割。

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